第11章 【音駒との邂逅 第四幕】
「すっげーっ、日向、この人すげえなっ。」
「美沙さすがっ、影山も認めるスマホオタクっ。」
「日向、あんたな。」
「あ、美沙さん、俺もそれつかってるんで教えてっ。」
「犬岡君もね、はいはい。」
「日向はいーのか。」
「俺ガラケーだし。それにもう美沙のメルアド知ってるしっ。」
「く、翔陽ずりい。」
「学校同じだもんね、へへーん。」
「日向、あんたそこ威張るとこか。そんでリエーフ君はいきなしスタンプ攻撃かいな。」
「いいだろ、これ。」
「ふふふ、君甘いな。ほな私はこれやっ。」
「あっ、これキノコの奴っ。」
「いっぱいあるで。ほれほれ。」
「うおっ、画面菌類だらけっ。」
「美沙ー、それ買わなきゃいけない奴だよな。縁下さんに怒られないのかー。」
「大丈夫やもん、知らんうちに溜まったポイントでしか買(こ)うてへんもん。」
「美沙さんってマジ頭いいなっ。」
「いやいや犬岡君、頭あんましかんけーないで。」
何だかんだ言ってやはり開き直ると馴染んでしまう美沙であった。
美沙は知らなかったが音駒側では芝山が先輩に話していた。
「何か、リエーフ君と犬岡君が撮影要員で来たっていうあの人随分気に入ってるみたいですけど何なんでしょう。」
「さーなぁ。」
夜久が呟く。
「山本が天使とか訳のわかんねー事言って暴走したくらいだし、ギャップ萌えじゃね。」
「ああ、そうかもな。」
海が笑って口を挟む。
「一見するとあいつら相手にあれだけわいわい出来るように見えないしな。いいんじゃないか、良さそうな子だ。」
「お前はどっかの父ちゃんか。」
夜久が突っ込むと肩をちょんちょんとつつかれる。
「どうした福永。」
無口でろくに話さない2年の福永だ。夜久に言われて福永は顎でくいっととある方向を指す。指された先には縁下美沙の義兄、力の姿があった。