第10章 【音駒との邂逅 第三幕】
「うーん、スマホとパソに強くてスマホケース下げてる天使かぁ。」
後ろで義兄の力が後頭部を軽くかきながら似たような事を呟いているのが聞こえる。
「スマホ強いんスかっ。」
「いや別にそんな、スマホ弄りは好きやけどとりあえずネット出来てメール送受信出来てアプリインストールして写真撮るくらいしか。」
「どうなんすかっ、おにーさんっ。」
「君におにーさんって呼ばれたかない、そんで多分本人はしら切るからこっちのが早い。」
山本は首を傾げ、美沙も義兄は何を言っているのかと不思議に思う。力は2人の雰囲気を汲んでいる一方、直接答えず美沙、と義妹に呼びかける。
「お前のスマホ、大まかなスペックとか気になるとことか。」
美沙の中で何かのスイッチが入った。
「CPUはデュアルコア、メモリ2GB、OSはAn*r*id4.2、コードネームJ**ryB*ens、内蔵の記憶容量は16GB、いいところはインストールされたアプリとか機能がどこにあるか探しやすい事、電池容量2700mAh(ミリアンペアアワー)でかなりもちがいい事、生活防水仕様な事、欠点は若干タッチ感度が悪い事、OSにあるはずの外付けUSBメモリを認識する機能がメーカーさん側で潰しちゃってて使えないのが不便な事、物理的なボタンついてるから破損したらスマホの操作に支障が出る事。」
ベラベラ喋り出した美沙、山本がついていけずに口をパクパクさせ、近くにいた音駒の連中も圧倒されてポカーンとしている。この時義兄の力が控えめにドヤ顔をしていた事を美沙は知らない。力は更に義妹に質問する。
「物理ボタンが駄目になったら修理出すまでどうするの。」
「画面で使えるボタン表示するアプリで凌ぐ。でもホームボタンはともかくメニューボタンの代わりになるアプリがあるかどうかは知らん。」
一気に喋ってしまい美沙は軽く息切れした。
「とまぁこんな感じ。」
「めちゃめちゃ強いじゃねぇかあああああっ。」
山本が絶叫する。
「わかったか美沙、ちょっと大袈裟だけど世間は大体こういう反応だからね。」
「うー。」
「返事は。」
「わ、わかった。」
美沙としては少々納得が行かないが仕方があるまい。