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【ハイキュー】エンノシタイモウト第二部

第65章 【強制隔離宣言?あるいは花火の思い出】


縁下兄妹はその間完全に2人の世界に入っていた。

「兄さん。」
「何だい。」
「あの、その」

何か恥ずかしがっているように言う美沙、力は優しく先を促す。美沙はうーと唸り何を思ったのか一旦太腿のあたり—いつもならガジェットケースがぶら下がっている位置—に手をやってから籠バッグをゴソゴソしてスマホを取り出す。花火を動画に撮るのかなと力は思ったがそうではなさそうだ。しばし美沙は画面を操作する。何か違和感のある操作だなと思ったらどうやらキーボードからのフリック入力ではなく指で手書きしているらしい。やがて書き終わったのか美沙は目をそらして力にスマホを差し出した。差し出されたスマホを見て力はハッと義妹を見やる。音駒の孤爪も知っているタッチ感度がやや悪い端末で無理矢理手描き用アプリに描かれたひどい文字、そこにはこうあった。

"兄さんは私を好きになってよかった?"

力は目を見張る。言葉より先に体が動く。気づけばガバッと義妹を正面から抱きしめていた。人目なぞ完全にどこ吹く風である。

「当たり前だろ、馬鹿。」

空では滝のように流れる花火が上がる中で力は義妹の耳元で言った。阿呆に直してやる余裕がない。

「ずっと一緒にいような。」
「うん。」

美沙は頷き、力はもう一度義妹を抱きしめ直す。まるでアニメのようなタイミングで一際大きく彩り豊かな花火が上がる。その一部始終を目撃した烏野の一行はすっかり盛り上がってごく一部を除きヒューヒューと声を上げた。
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