第59章 【強制連行宣言】
いきなりだが夏である。つまりは
「夏祭りだっ。」
「今年も行くぞゴルァっ。」
暑苦しい2人組が騒ぐ時期でもある。
「田中も西谷もうるさい。」
力は即刻無表情で突っ込んだ。ただでさえ空調のない体育館だと言うのにハイテンション組に喚かれてはたまらない。一方で
「でももうそんな時期かぁ。」
木下がしみじみと言い、
「今年もみんな行くのかな。」
成田が誰に言うともなく呟く。
「俺は行くぞっ。」
「うん、西谷と田中は聞くまでもないよな。」
「成田、お前最近どういうポジションなんですかコラ。」
「大方は縁下の補助だよ。まあそれはともかく。」
「俺行きますよっ。」
元気が良いのは言うまでもなく日向である。
「僕は別に。」
「えー、ツッキー行かないの。」
「山口うるさい。」
「影山も来るよなっ、むしろ来いっ。」
「西谷さん耳いてーっすっ、いや行きますけど。」
更に田中が潔子さん達はっと女子マネ陣にお伺いをたてる。
「そうねえ、都合が合えば行きたいな。仁花ちゃんは。」
「是非是非ご一緒させてくださいっ。」
更に3年達も加わる。
「旭も大地も行くよな。俺は行く。」
「ああ、せっかくだしな。」
「縁下だけに田中らの面倒押し付けるわけにもいかないしな。」
「そりゃないっすよ、大地さん。」
澤村に言われてしょぼーんとした田中はここですぐ復活した。
「で、後は縁下兄妹だな。」
「おい、俺はともかく美沙も込みかよ。」
思わず突っ込む力に田中はあったりめーだろと即答する。
「縁下ともあろうものが何度も言わせるとは。込みでなかったら逆にびっくりだっつの。」
「どうせ今の俺は過保護のシスコンだよ。」
「成田っ、縁下の開き直りが進化しよったっ。」
「また新しいパターン来たな。しかもBボタン押す暇がないっていう。」
「成田さん、それじゃどっかのゲームでは。」
「山口、横でままコさんみたいなこと言うのやめてくんない。で、真面目な話どうなさるんですか縁下さん。聞くまでもない気もしますけど。」
月島が先を促す。力はほんの少し考えた。
「俺も行く、田中と西谷が何やらかすかわかったもんじゃないし。で、美沙も連れてく。嫌がっても強制連行。」
「強制連行とは。」
田中の素朴な疑問に力はしれっと答えた。