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【ハイキュー】エンノシタイモウト第二部

第56章 【落ちる未遂】


今頃何をな話だがかつて青城の及川に貸し出されてデート状態になった時、美沙は彼から他人の悪意に鈍感であると指摘された。加えて及川は自分や美沙の義兄である力がいない時は背中に気をつけるようにとも言った。半分ボケではあるものの一度階段から落とされた経験も手伝ってそれを覚えていた美沙は密かに自分が1人でウロウロしている時は警戒をするよう意識していた。いいのか悪いのかそれは警戒を意識していた最中の出来事である。

その時は昼休みでその階段には人気がなかった。多分多くは昼食にしていたからだろう。美沙は背中のあたりに知らない気配を感じた。何やろと思っていると知らない女子に呼ばれた。返事して振り向いたらその女子は大変固い顔をしていておそらく良くない用事だろうと美沙ですら思う。開口一番女子は言った、青城の及川さんに近づかないでと。

「えと。」

相手が及川のファンである事は確かだ。そしてしばらく前の自身の経験から恐らく自分は嫉妬を向けられている。どちらかと言えば及川の方から美沙に近づいている節があるがそんな事を言う訳にも行かず、さりとてあっさりうんと言っていいのかわからず美沙は戸惑った。イラッと来たのだろう相手は言葉を重ねる、あんた縁下さんにべったりな癖に及川さんとも仲良いらしいじゃないオタクのブスの癖に2人も手玉にとってどういうつもり。

「私は別にそんなつもりじゃない。」

言われても仕方ない事は理解してとりあえず標準語でそれだけは言えたが気にいる返答ではなかったのだろう、頬を引っ叩かれた。びっくりする他ない。自分にはない発想と行動だ。キョトンとしていると相手は苛立ちが頂点に達した模様だった。その天然ぶりウザい死んでと言われた。

「それは断る。」

美沙は静かに言った。

「気持ちはわかるけど生き死には決められたくない。」

とは言え怒るやろなとはいくら美沙でも何となくわかっていた。案の定相手は怒(いか)り滅茶苦茶に罵り始めた、大体あんたは気持ち悪い、前に階段から落とした時も不良に蹴られても普通に学校に来て弱っちい癖に無駄に根性があって何を考えてるのかわからないのに男バレの人とはやたら仲が良いし訳わかんないキモオタの癖に捨て子の薬丸の癖に。
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