第55章 【お兄ちゃん】
縁下力と美沙及び烏野の2年達は気づいていなかったが彼らが店を出た時、少し遠くの方から青葉城西の矢巾と京谷が歩いてきていた。
「ままコ。」
京谷が呟き、矢巾もホントだと言う。
「烏野の奴らもいるな。」
「ままコ、ハミチキ買ってる。」
「別に珍しかないだろ。」
「ままコは兄貴に揚げもん食うなって言われてる。」
ボソボソ言う京谷に矢巾は縁下君が、と遠くなっていく烏野一行を見やった。
「相変わらずどんだけだよ。」
「知るか。」
言ってから京谷はあいつがままコの兄貴かと呟いた。
「弱そうな奴だ。」
「いや、前に話したことあるけどあれは」
矢巾は気をつけろと言いたげに京谷の言葉を否定する。
「なめたら痛い目に遭う手合いだ。とりあえず縁下美沙さんには手を出すなよ、面倒してくれるのは及川さんで間に合ってっから。」
「お前じゃあるまいし。」
「俺だって誰彼構わずじゃねーよっ、少なくともあの子は勘弁だ。」
「何でだ。」
「逆に何で聞くんだよ。だって別に可愛くないしキャラ濃くて扱いにくいじゃん人は悪くないと思うけど、って何か言いたげだな。」
「もったいぶってんじゃねーよ。」
やたら切り込む京谷に矢巾はそこまで聞くかとため息をついた。
「俺じゃあんな何があっても我慢しちまうような子支えきれねーよ。」