第54章 【義妹復活する】
「これであいつがおめーの嫁にならないとかなったらここにいる誰もが納得しねーぞ。」
力は固まった。たまたま備品を取りに来た清水にもチラと目を向けてみる。しかし清水はいつもの特に変わらない表情で首をかしげただけだった。
ついでに同じく美沙を心配していた外部の奴らの様子も見よう。
「あ、」
青葉城西高校男子バレー部部室では及川がスマホのメッセージアプリに来たメッセージを確認していた。
「岩ちゃん岩ちゃん」
「何だよ一体。」
無駄にテンション高く呼ばれた岩泉は面倒くさそうに言う。
「美沙ちゃん風邪治ったってっ。」
「烏野6番の妹か、そいつぁよかったな。そろそろおめぇを埋めるか否かの瀬戸際だったからよ。」
「ちょっと何なのそれっ。」
「そっちが何かにつけて美沙ちゃん美沙ちゃんうるせーからだろが。」
岩泉はうんざり気味に言うが及川はえーと不満げである。
「いーじゃん別にぃ。好きな歌手が活動休止から復帰したの喜ぶのと何が違うのさ。」
「それっぽい例えで押しきろうとしてんじゃねーよ、クソ川の分際で。てめえのは半分以上ストーカーだろうが。」
「ちょっとっ、俺ヤバイ人扱いっ。」
「ちげーつもりだったのか図々しい。」
「ひどいっ、誰か岩ちゃんに一言言ってやってっ。」
「いやむしろお前に一言くれてやりてーわ。」
花巻がボソリと言い、松川がうんそうだよねと続く。
「ちょっとちょっと、マッキーとまっつんまで何なのさ。」
「とりあえず俺から一言。いい加減不倫やめてください。次、金田一。」
「表現がおかしい上にいきなり俺かよ国見っ。あの、その、女子のことで揉めないようお願いします。あ、矢巾さんよろしく。」
「今後防弾防刃ベスト着なくて大丈夫ですか。ほい、渡。」
「兄貴の方に怒られても俺は関知しませんので。はい、花巻さん。」
「いつかままコにスマホクラックされちまえ。松川、次。」
「脳の医者に行く事を勧めたいかな。京谷、ラスト。」
「キモいっす。」
「お前らよくやった。」
「何みんなでリレーみたいなことしてんのさっ、岩ちゃんも褒めないでっ。」
及川は抗議するが青城の連中は聞いていない。
「連携よくて結構な事だろうが。」
しれっと言う岩泉だが及川はひかない。