第52章 【治ったら】
もちろん1日で回復するはずもなく美沙は次の日も休んだ。
「よう縁下、妹はどうよ。」
男子排球部の朝練の休憩時間、田中に尋ねられて力はああと答える。
「もう全然。食欲なくて水分ばっかとってるみたい。治るまで当分かかかりそうだな。」
「美沙が全然食べないんですかっ。」
聞きつけた日向が飛び上がった。そんなに食いつく事なのかと力は苦笑し更に影山も話に参加する。
「大丈夫なんすか、ままコが食わないなんて。あいつあれ以上痩せたらヤバくないすか。」
「ハハハ、ありがとう心配してくれて。でもきっと大丈夫だよ。というかお前らの中でもうちの美沙は大食いポジションなのか。」
「大食いってーか」
日向が呟く。
「美沙しょっちゅうお腹減ったって言ってるし。」
「そんなにか。」
思わず呟く力にえーと、と美沙と同じクラスである谷地が言う。
「その、実際美沙さんいつも3時間目くらいにはもうお腹減ってきたどうしようって言ってます。」
ここでああと影山が呟いた。
「だからあいつ弁当持ってるのに時たま購買でパンも買ってるのか。」
「何だって。」
力は聞き逃さない。
「一体何買ってたんだ。」
「俺が見た時はコロッケのとかソーセージのとか結構がっつりした奴。」
「前みたいにおにぎりならまだしもまた隠れて油もんか。回復したらお仕置きだな。」
「縁下っ、目っ目っ。」
「やめたげてください縁下さんっ、美沙さんホント食べなかったらもたないみたいです許したげてっ。」
自然に目がすわってきている力を見て木下と谷地が慌て成田がボソッと言う。
「お前美沙さんの食事管理まで始めたのか、縁下。」
「そうじゃないけど腹出ててスタイル悪いとか何とか言ってるからさ。」
「そんなに気にしなくてもいいのになぁ。」
ここであははと笑うのは東峰である。
「そーっすよね旭さんっ、おい力美沙があれ以上痩せたらガチヤバだぞ多分。」
「というか縁下、ダイエット(食事制限)ってえより運動じゃないの美沙ちゃんの場合。」
西谷と菅原も話に参加した。運動かぁと力は前向きに検討してみる。