第50章 【義妹倒れる】
「何だこりゃ。絵文字ばっか、暗号かよ。」
意外にもここで孤爪が俺にも見せてとやってきた。孤爪はほんの少しふんふんと呟いていたが
「美沙さん風邪引いて学校休んでるみたいだよ。」
即刻翻訳した。
灰羽と犬岡はマジでっと声を上げる。
「研磨さんよくわかりましたねー。」
「犬岡、これくらいよく見りゃわかるよ。」
「美沙さんが伏せってるだとおっ。」
今度は聞きつけた山本が騒ぎ出した。面倒くさい予感しかしない。案の定ブチっときた黒尾が山本ウルセーっと怒鳴る。
「てめーは普段見てくれのいい女子しか眼中にない癖に何であの地味リボンの時だけ態度が変わるんだこのクソッタレっ。」
「クロさんっ、美沙さんは地味で照れ屋だけど天使っすっ。」
「とりあえずてめーが喋るとややこしいから黙れっ。」
「そっそんなっ。」
「にしても何でわざわざ絵文字なんだよ。日本語で打てばいいもんを。」
ぎゃあぎゃあやっている黒尾と山本を無視して呟く夜久に孤爪が言う。
「多分だけど逆に漢字変換するのが面倒だったんだと思う。絵文字の使用履歴からぽちぽちやったんじゃないかな。あの子ならあり得る。」
「美沙すげーっ。」
「リエーフ、うるさい。」
騒ぐ灰羽に耳を塞ぐ孤爪にお見舞いの返事打っとくと声を上げて返信を打ち始める犬岡、夜久は呆れた顔をして丁度近くにいた海に言った。
「こういう場合俺はどうしたらいいんだ。」
「そっとしといてやったらいいんじゃないか。」
一連の会話の間、もう少し距離を置いている奴等もいた。
「福永さん、」
芝山が呟いた。
「烏野の、えと、エンノシタさんでしたっけ、の妹さんが何でこんなに影響力あるんでしょう。」
聞かれた福永はさぁと言いたげに肩をすくめた。