第50章 【義妹倒れる】
「ホントにあいつらは。1日1回は縁下んちの話か。でも美沙さんが倒れたのは心配だな。」
「すぐ良くなるといいけど。」
「大地と旭が心配してもしょーがないだろ、ほら俺らも手え動かさないと。」
「スガ、随分落ち着いてるな。」
不思議そうに言う東峰に菅原はだってさと笑った。
「俺らが動揺するとあいつら兄妹揃って気にするから。」
さてそういう訳で烏野の連中に心配されていた美沙だがいいのか悪いのか外部でも心配されていた。
「おっかしいなぁ。」
青葉城西高校男子バレー部部室にて及川がむーと口を尖らせていた。
「おめーの頭がおかしいのは今更だろが。」
「ちょっと岩ちゃん、失礼な事言わないでよねっ。そーじゃなくてさ、美沙ちゃんが送ったメッセ既読スルーしてんの。」
しょうもない内容に岩泉はんなもんよくある話だろと一旦流すがふと気がつく。
「待てコラ。」
「どしたの岩ちゃん。」
「おめーはまだあの烏野6番の妹にちょっかいかけてんのか。」
「人聞き悪い、楽しくおしゃべりしてるだけだよだ。」
「こないだ2人で出かけた癖にまだ足りねーのかっ。」
「それはそれ、これはこれ。」
「おい誰かこの無駄に爽やかな開き直り野郎黙らせろ。」
「んな無茶な、岩泉さんが言って聞かないのに。」
矢巾がとんでもないと体を震わせるが話題にされている及川は完全に自分のペースである。
「岩ちゃんの語彙が無駄に増えてるのは置いといて」
「次は掌底(しょうてい)打ちしてやろうかコラ。」
「何さ岩ちゃんこそ美沙ちゃんから色々仕入れてんじゃんっ。」
「あの半分ボケが色んな事言いやがるから必然的に覚えただけだっ、うるせえっ。」
「それよりホントおかしい、美沙ちゃんが既読スルーって絶対おかしい。」
「寝落ちしたまんまで今更返事出来ないとかでは。」
渡が小さく呟くが及川はいいやっと声を上げた。
「心配だからちょっとスタンプ送ってみるっ。」
「どんだけだよ。」
呟く岩泉を他所に及川は本当にメッセージアプリから壁の陰から様子を伺うスタンプを送る。程なく及川のスマホが振動した。
「ありゃま。」
及川は呟いた。
「美沙ちゃん風邪で学校休んでるんだって。」
「ほお、珍しいじゃねえか。」
「あの」
たまたま画面が見えてしまった金田一が言った。