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【ハイキュー】エンノシタイモウト第二部

第49章 【異常事態】


「じゃ×りこあげるって言ったら今日はいいですって。」
「あの縁下妹がおやつを断っただとおっ、しかも潔子さんのっ。」
「確かに変だっ、美沙が奢りじゃない食いもん受け取らないってっ、しかも潔子さんのっ。」
「お前ら、この流れで最後の2文節強調するか。」

成田が珍しくジトッとした冷たい目で田中と西谷に呟き、最後に木下が言った。

「そういやこっち来る途中誰かが廊下でコケかけてたみたいだけどあれ美沙さんだったんかなー。縁下、実際そっちはどーなんだよ。」

色々と聞かされた縁下力は目を閉じて俯(うつむ)いていたが木下に聞かれてゆっくり目を開けた。義妹がここ数日おかしいのは明白だった、しかし外部からここまで様子がおかしいと言われるとは。なまじ心当たりがあった為に思わずこっそり菅原と目配せをする。

「うちでも変なんだ。」

力はゆっくり、重苦しい気分で言った。

「絶対まともに寝てなくて、でも聞いたらごまかしきれてないの知ってる癖に適当な事ばっか言って逃げるんだよな。」
「ままコが縁下さんから逃げるってそれ相当じゃないスか。」

珍しく影山が鋭いところを突き、力は頷く。

「俺が嫌われてるんじゃないのは確かだけど、何か、あそこまで言いたがらないのはちょっと。」
「その、」

ここまで澤村、菅原と一緒に黙って見守っていた東峰がおずおずと口を開いた。

「縁下にも言いたがらないって事は何かその、自分自身の事で悩んでるんじゃないか。何となくそういうのって人に言いづらいんだよな、ほら、何か恥ずかしいっていうか。」
「ふむ、旭にしてはまともな意見だな、よくやった。」
「大地、褒められてる気がしないんだけどっ。」

ゲーンっとややショックを受ける東峰をスルーして澤村は言う。

「まあ俺達に出来ることって話聞くくらいだけど、縁下も思い詰めるなよ。」
「ありがとうございます、大地さん。」

力は礼を言うが当然落ち着かない。今回は家庭の事情であるが故に余計である。ここでやはりさりげなく気遣ったのは菅原だった。特に何も言わず力の肩をそっと掴んで目を合わせただけだだったが今や秘密を共有する者同士、通じるものがあった。
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