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【ハイキュー】エンノシタイモウト第二部

第49章 【異常事態】


今回について言うと美沙は完全に抱え込んだままだった。心配してくれている義父母にはとてもじゃないが言えるものではない、義兄の力は気づいているだろうがそれでも言えない。力はもし万が一両親が美沙を他所にやるなどと言ったら猛反対する勢いだった。それでも美沙はふいに不安になる。いくら力がしっかりしていて自ら一線を越えるくらい自分を溺愛してくれていると言っても大人の事情に早々太刀打ち出来るものではないだろう。ここしばらく義兄にどうしたのか聞かれても逃げ続けたのは下手に義兄の優しさを受けたら泣き出してしまい止まらなくなりそうだったからだ。そうして義兄と帰らない日の今日、美沙はまた1人キノコキャラのぬいぐるみを抱きしめて涙を流していた。もうフラフラだった。頭が痛み出した。何だか身体中が熱い気もした。

その頃、力はいつも通り男子排球部の連中と一緒に帰っていたがほとんど菅原とこっそり話していた。

「縁下、」

菅原が言った。

「帰ったらさ、無理矢理にでも美沙ちゃんに話させた方がいい。」
「菅原さんもそう思われますか。」

菅原は頷き、

「お前らほぼ喧嘩しないから辛い事になるけど、叱り飛ばして喧嘩になっちゃってでも言わせないとあの子抱えたままどうなるか。今回ばかりは危ない気がする。」
「そうします。」

力は覚悟を決める。いっぺん喧嘩になるくらい構うものか、自分達兄妹はそんなくらいで壊れたりしない、というかこうなったら両親も巻き込むべきではないか。美沙の様子がおかしいのはあの電話と自分達が美沙の実父の事で疑惑を持ち始めた辺りからなのだから。

そうして力は帰宅する。帰ってきて二階に上がったらやはり異常があった。先に帰ってきている美沙が部屋から出てこない。何かの予感がして力は義妹の部屋のドアをノックしてみた。

「美沙。」

疑問形でもう一度呼びかける力、しかし義妹は反応しない。途端に不安になって力は義妹の部屋のドアをバッと開けた。
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