第44章 【妹貸し出し 後日】
力は一瞬だけ実は自分が一方的に想ってる訳ではなく、兄妹揃って想い合い線を踏み越えていることをこのまま告げようかとも考えた。しかしすぐ顔に出て隠し通せないであろう奴らが野郎共の3分の1を占める事に気づき思いとどまった。
義兄の力が野郎共に弄られている間、美沙は図書室で宿題やらなんやらをやり、ルーズリーフを引っ張り出して動画のイメージを落書きしたりしていた。ふと先日の休みの事を思い出す。ろくに外に出ない奴にとってはなかなか貴重な体験だった。心なしか及川がいつも見るより気楽にしていた気もする。
ただ気になるのはあの一言だ。
"俺や縁下君がいない時は、もうちょっとだけ自分の背中に気をつけて。"
多分階段から落とされたり谷地を庇(かば)って怪我をしたりしているから心配されているんだろうとは思う。ただ、この半分ボケはあれだけ及川に言われたにも関わらず他からやきもち焼かれた為に何かが起きる可能性をあまり考えていない。とりあえず一人の時は気をつけようと考えているだけマシだけれども。
そんな美沙は今日はブレスレットもリボンもしておらず、代わりにその片手には力に与えられた指輪が光っていた。
次章に続く