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【ハイキュー】エンノシタイモウト第二部

第43章 【妹貸し出し当日 その4】


「俺や縁下君がいない時は、もうちょっとだけ自分の背中に気をつけて。」
「えと。」
「君はやきもちを焼いたとこで人を傷つけるなんて発想は湧かないだろうけど、たまに無茶な人がいるからね。」
「あの」
「お返事は。」
「はい。」
「いい子だね。」

真面目な忠告なのはわかったがとりあえず義兄以外の人に抱っこされるのはいい加減困ると美沙はモゾモゾした。

何だかんだで及川に貸し出されてのデート(多分)は終わりに近づく。

最後は及川に連れられてぶっちゃけ定番と言える遊園地に連れられた。遅く入った為日は傾いていて、美沙はあまり遅くなると力から生存確認のメッセが入りそうだと思ったが及川はやはり見透かしたように大丈夫だってと強引に連れて行く。気づけば美沙は義兄以外の男子と観覧車に乗るという人生初の体験をしていた。

「私、観覧車自体初めて乗った。」
「えっ、そーなのっ。縁下君駄目じゃん、どんだけ美沙ちゃん箱入りにしてる訳っ。」
「いや別に兄さんかんけーない。」
「大有りだよっ、美沙ちゃん独り占めにしといて外連れてかないとかどーなのホントに。」
「何で及川さんが不満そうなん。」
「俺のアイドルが不遇なのが何かヤダ。」
「誰がアイドルやっ、世の皆さんに怒られるわっ。」
「俺が思ってるからいーの。」
「あかん、ホンマこの人訳わからん。ちゅうか私今は不遇ちゃうもん。」
「うん、知ってる。」
「やっぱし岩泉さんに報告しとこ。」
「も、もうその手は食わないからねっ。」
「汗かいてはりますよ。」
「美沙ちゃんが進化した。」

一通りふざけて2人はしばし静かになる。美沙はだんだん日が暮れていく外の景色に見とれていた。普段見ない高さから見る為に余計に惹かれたのかもしれない。及川はそんな美沙をやはり満足そうに見ている。やがて観覧車から見る外は夜景に変わり始める。

「綺麗。」

思わず美沙は呟いた。幻想的、とは月並みな言い方だが他に思いつかず、この半分ボケは向かいの席に座っていた及川がそっと近づいてきているのに気づきながらも無警戒だった。ハッとした時にはもう遅い。

「ちょっこらっ、またこの人はっ。兄さん以外は抱っこアカンって何度言うたら」
「何度言われても今日はやめませーん。」
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