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【ハイキュー】エンノシタイモウト第二部

第43章 【妹貸し出し当日 その4】


及川はふーんとだけ言うが美沙は何となく見透かされている気がしてそっぽを向いた。そのまま2人は黙っていて行き交う人々を眺めている。離れた向こう側から声がしたのはその時だ。通りすがりの男子があ、青城の及川だ、と言うのが聞こえた。何だ彼女といちゃついてんのか、くそリア充爆発しろ、でもあいつすげーよな化けモンじゃんと連れと思しきもう一人と言い合っている。しかし連れとおぼしきもう一人は言った、それでもどうせ白鳥沢のウシワカには勝てないんだろ、と。聞き捨てならない台詞に及川が無表情になる。美沙は無意識に反応した。

「あいつら」

腰を浮かせて相手に突進しかける美沙、が、

「いいんだよ、」

及川に片方の肩を掴まれて止められた。

「言わせておけば。」
「せやかて」

及川を振り返って美沙は言うが及川は微笑んで首を左右に振る。そんな会話をしているうちに通りすがり達の姿はなくなった。

「あ、行ってもた。」

ブツブツ言う美沙に及川はあははと笑う。

「美沙ちゃんはいい子だね、でもどうして。」
「どうしてって。」

美沙は困った。本能レベルでやっている事の説明など出来るだろうか。

「知ってる人でそれも自分に良くしてくれる人がいらんこと言われとったら気ぃ悪いでしょ、普通。余程でない限り。」

及川がにっこり笑って言う。

「俺の事、そう思ってくれてるんだ。」
「あと他に言いますと貴方がたまにメッセで語ってくれるんと、兄さんや他の男バレの人が言ってるんと、岩泉さんとの様子からして貴方はきっとバレーに関してはどないしようもないくらい一生懸命で真面目でそっちが素なんかなって。となるとそれをけなしたり邪魔する人は看過しにくい、よーな気ぃする。」

それを聞いた及川の表情に美沙は戦慄した。何故この人は何かを得てぞくりとしたような不気味な笑顔を浮かべているのか。自分はおかしなことを言ったのだろうか。その及川は下を向いてクスクスと笑った。

「あーあ、ホント何なのこの子。」

美沙は訳が分からず戸惑う。

「そういうこと素で普通言う。」
「これも普通やないんですか。」
「おにーちゃんとか烏野のみんな相手ならわかるけどさ。」
「えと。」

更に困る美沙に及川は言った。
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