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【ハイキュー】エンノシタイモウト第二部

第41章 【妹貸し出し当日 その2】


尋ねる美沙に及川は、ん、と呟き

「創作には敬意を払って他でもいい意味で頑張ってる人は否定しないでしょ。君の事だから普通だって言うんだろうけど。」

先回りされて美沙はうぐっと唸る。

「それが普通じゃない人もいるんだよ。」

言う及川が少し寂しそうに見えたのは美沙の気のせいか。だが及川はすぐいつもの調子を取り戻す。

「いいなー、やっぱ癒されるー。」
「私は癒し系キャラやないはずやけど。」
「自分の事がわかんないんだね、相変わらずしょーがない子。」

美沙は首を傾げハッとした。

「あの、ええ加減手ぇ離してください。」
「えっ、やだっ。」
「訳わからんこと言いなっ。」
「だって今日は1日美沙ちゃん借りてるもん、手ぇくらい繋がなきゃ元が取れないよ。」
「私は時間制限付きの食べ放題かっ。」
「うう、突っ込み方が高等すぎて俺ついてけない。」
「とにかく兄さんが知ったら絶対怒るから離してっ。」
「絶対やだっ。」
「こらアカン、兄さんにバレたらどないしょう。」

その兄さんは家で落ち着きがなかった。もともと自分がいいと言った、それに及川の事なので美沙に危害を加える事はないだろう。それでも大事な義妹が他の野郎と2人で出かけているという事に心穏やかでいられなかった。いつもは落ち着いている縁下力だが今日は1人あまり広くない部屋をウロウロと歩き回っている。まるっきり動物園の熊だ。いや最近のことだ、動物園の熊の方がもっと広い部屋に住んでいるかもしれない。自分でもちょっとヤバいかも思っているところへスマホが振動した。メッセージアプリからの着信だ。テキストメッセージ、差出人は

「赤葦君だ。」

呟いてメッセージを確認する。

"久しぶり、そっちはどう"

力は素早くフリック入力する。

"お陰様で俺もうちのバレー部のみんなも元気してるよ。田中と西谷は無駄レベルで元気。"
"美沙さんは"
"相変わらず。"
"また動画作ってるの"
"いや今日は出かけてる。"
"珍しい、って事でいいのかな"
"実は"

力はつい今日青葉城西の及川に美沙を貸し出していて、絶賛デート中である事を語った。赤葦からの返事が来るまでにタイムラグが生じる。誰かに呼ばれたのかな、と力は思ったが

"縁下君にしては思い切ったな"

返事は来た。
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