第39章 【妹貸出依頼】
「とりあえず未練がましい上にいちいち外堀から埋めてるおめぇが気持ちわりぃのとあの妹にどハマりしてる烏野6番が許可したのが意外すぎる。」
「紳士の俺が真摯(しんし)にお願いしたからね。」
「ああ変態という名の紳士か、どおりで気持ちわりぃと。」
「どこぞの熊と一緒にしないでよっ、てか本当岩ちゃんどうしたの、返しのバリエーションやっぱり増えてるじゃん。何か美沙ちゃんみたいっ。」
「じょーだんじゃねーわっ、ったく。てか6番の妹は相変わらずみてえだな、お人好しというかなんというか。」
「俺別に悪い事企んでないもん。ちょっとだけ癒しがほしかったから頼んでみただけだもんね、だ。」
「まったくもって意味がわかんねーわ、ボゲ。」
岩泉は言ってアホくせと呟き、及川がその辺に置きっ放しにしていたバレーボール雑誌を手に取る。ほっとかれた及川はふんだと呟いてスマホを操作し、メッセージアプリからの追加の通知を確認する。
「マジすか。」
通知をタップして差出人"美沙ちゃん"からのテキストメッセージに目を通した及川はボソリと呟いた。
「美沙ちゃん、そんな趣味あったんだ。」
「何だまたおめぇはブツブツと。」
岩泉が問うが及川は引きつった笑みを浮かべたまま答えない。岩泉は勝手に及川のスマホの画面を覗き込む。
「6番の妹はじじばばか。」
「何か早速不安になってきた。」
「やめるなら今の内だ、烏野6番は多分喜ぶぞ。」
「やだっ、折角縁下君から何とか許可貰ったのにっ。」
「じゃあ文句言わずに付き合ってやれ、ハンドルネームままコのファンなんだろ。」
岩泉に言われて及川はハッそーだったと顔を上げた。
「そーだよねっ、せっかく俺のアイドルとデートだもんねっ。」
「やっぱりネットアイドル扱いか、気持ちわりぃ。」
「前向きと言ってっ。」
「限度ってもんがあるわっ、ボゲぇっ。」
夜は更けていく。
次章に続く