第38章 【重要なギ題とその効果】
「ほかはー。」
「俺も美沙ちゃんって言ってるなぁ。」
「じゃあ旭さん、と。」
「俺は美沙さん、だな。」
「美沙さん、が大地さんと。」
「田中さん、谷地さんも美沙さんって言ってますっ。」
「そーいやそーだな。」
「何なんだこの不毛感。」
「縁下、まあまあ。」
成田になだめられるも力は落ち着けない。田中は飛んだことをしてくれたものだ。
「俺も美沙さんって言ってます。」
ここで自己申告したのは山口だ。
「だいたいは名前そんままかー。」
田中は無駄に真剣な顔でふーむと唸り、
「つかおい、お前らは」
木下と成田に水を向ける。
「俺も成田も美沙さんだよ、他に呼びようがねえ。」
田中はさらに書き入れ、
「そーいや影山は何か違う名前で呼んでんな。」
「俺ままコって呼んでます。スマホオタクとかヒョロヒョロって呼んだら縁下さんにやめろと言われたので。」
「影山、そりゃ縁下でなくても言うって。」
菅原が呆れたように言う。
「てかままコってなんだっけ。」
「うちの美沙がネットで使ってるハンドルネームですよ、菅原さん。」
「あーそっか、流石動画投稿者。でも何で影山はハンドルネーム。」
「苗字だと縁下さん呼び捨てしてるみたいだし何となく名前で呼ぶの恥ずくて、まだその、ままコだとネットのだけどあだ名っぽくて言いやすくて、縁下さんもいいって言ってくれたし。」
菅原はブブブと吹き出し、力は苦笑する。
「で、武ちゃんも美沙さんだろ、俺と烏養さんが縁下妹、と。」
田中がお世辞にも綺麗とは言い難い字で書いていく。
「うーん、内部だけじゃピンとこねーな。」
「田中の癖に真面目くさって一体何にピンと来ないんだよ。」
「縁下妹は何気に他校とも絡みあるよな、範囲を広げてみるぜ。」
「いい加減にしろ、どう考えてもただのカオスだろ。」
力が無表情で言うが田中は誰か情報ある人ー、と勝手に話を進め、他は面倒くせーけどとりあえず飽きるまでは付き合ってやるといった構えだ。早速日向がはいと手を挙げる。
「大王様が美沙ちゃんって呼んでまーす。」
「おお、そういやこっち来た時そーだった。」
「俺としてはとりあえず近づくのすらやめてほしいけどな。」
「縁下、ここでシスコン発動させるなよ。」
成田が突っ込む。