第38章 【重要なギ題とその効果】
その日、烏野高校男子排球部が使っているホワイトボードにはいつぞやのように物凄く阿呆な事が書かれていた。
"本日のギ題 縁下妹の呼び方 月島にどれで呼ばせるか"
「何でうちの美沙なんだ、しかも月島巻き込んでやるなよ。」
縁下力はそれを見て無表情で言った。
「しかもまた議題の議の字ど忘れしたのか。」
「まあかてえこと言うなって。」
田中がでへへとごまかし笑いをしながら言うが力はごまかされない。
「とりあえず勝手に人の妹を議題に持ち出すな。」
「いーじゃねーか、ほとんど身内みたいなもんだろ。」
「だからやめろって、世話になってるのは確かだけど変なとこで数に入れるなっ。」
「で、美沙ちゃんの呼び方議題にして何おっぱじめんの、田中。」
呆れ気味な菅原以下野郎どもは全員一応付き合ってやると言ったノリで参加する。
「オホンッ」
田中が無駄に咳払いをしてから始めた。
「あー、本日の議題はご覧の通り、ズバリっ縁下んとこの妹の呼び方についてと月島だけ名前呼んでねーのをどうするか。」
「別にどうでもいいだろ。」
義兄である力はボソッと呟くが田中はぬぁに言ってやがると言う。
「約1名まともに名前呼んでねぇ奴がいるってのは問題だろが。」
「別に、いちいち呼ぶ必要ないんで。」
月島が呟くが田中は完全に無視をした。田中にしては高等テクニックである。
「まずは現状把握だな。」
「田中の癖に現状把握とか、槍でも降るんじゃないか。」
力は呟くが田中及び何も考えてない組の一部はノリノリである。
「まず兄貴の縁下は、美沙、と。」
「はいはい、俺も美沙って呼んでますっ。」
「日向も美沙、と。」
田中は美沙、と書いた横に縁下、日向と書き込む。
「俺も美沙だぞっ。」
叫ぶ西谷に田中はノヤっさんと書き込んだ。
「俺は美沙ちゃんだなー。」
菅原が言うと田中は下の行に美沙ちゃんと書いて、横にスガさんと書く。
「龍、潔子さんも美沙ちゃんって言ってるぞっ。」
「おお、そーだった。」
田中はさらに潔子さんと書き入れ、書き込みが増える度に義兄の力から表情がなくなっていく。横にいた木下がやべえっと肩をビクッとさせるが当分事は止まりそうにない。