第34章 【赤葦襲来 第五幕】
冗談は置いといてと赤葦は言うが果たして冗談だったのかと美沙は思う。
「で、ままコさんは他に何がコンプレックスなの。」
力が赤葦君何を聞くんだと慌てるが赤葦は聞かない。
「見た目。」
「ふぅん、後は。」
「料理。」
「昨日頂いた明石焼は美味しかったけどね。」
「あ、あう、ありがとうございます。」
「そんで他には」
「兄さん、この人、」
「全部言うまでは勘弁してくれそうにないな。」
「んな阿呆な。」
「他には」
「ホンマにかんにんしてくれへんねや、えと、勉強。」
「まだあるかい。」
「短気とか単純とか瞬間記憶には難があるとかゲーム下手とかコンピュータープログラムわからんとか考え方の視野が狭くて全体がようわからんとか。」
赤葦はふうと息をついた。
「そこまで短気とは思えない単純は仕方ないとして逆に長期間の記憶には長けてると思う視野が狭い云々も意識次第かもしれないよそれと最後に言ってた内の4番目と5番目がおかしい絶対オンライン基準で言ったろ。」
「あの、赤葦さん。」
「総評、気にし過ぎ。君なら大体は努力で何とか出来そう。」
「赤葦君も把握してきたね。」
「ちょ、兄さんっ。」
「あとお兄さんは妹さんの躾をちゃんとしようか。」
「何で俺なんだよっ。」
何でってと赤葦は表情を変えずに言う。
「この子の保護者なんだろ。」
「それはうちの連中が勝手に言ってるだけでっ。」
「違うつもりだったのか。とりあえず過保護の割に美沙さんをこんなコンプレックスの塊のまんま放ったらかしちゃダメだろ。だいたい美沙さんが記憶力悪いってんならうちの誰かさんは立場なくなる。」
「これでもこいつマシになった方だって。」
「兄さんお願いやから先に躾とかなんとか言われとるとこ否定したって、まるっきりペットやんっ。」
「ああ確かに縁下君は保護者ってより飼い主かもね。」
「もうええわっ。」
3人がそんなしょうもない話をしている時である。
「あっ、力だっ。」
どっかで聞いたやかましい声が響いた。
「お、縁下妹もいるじゃねーか。」
「一緒にいる奴誰だ、龍。」
「あーっ、あいつ梟谷のっ。」
「間違っても威嚇(いかく)するなよ。」
「縁下に怒られても知らねーからな。」
「兄さん。」
美沙が呟くと義兄の力は頷く。
「嫌な予感がする。」