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【ハイキュー】エンノシタイモウト第二部

第31章 【赤葦襲来 第二幕】


そんなこんなで過ごしていたらあっという間に赤葦京治がやってくる当日である。縁下美沙は義母に頼まれた買い物に行き、1人下駄を鳴らして歩いていた。話すのが関西弁とはいえどこぞの漫画のキャラを気取っている訳でなく、たまたま暑くて美沙としては下駄がちょうど良かったからである。両親は家にいて義兄の力は今日来る赤葦が最寄りの駅に着いたという連絡を受けたので迎えに行った。多分自分の方が先に家に着くから心構えが出来ていないうちに鉢合わせにはならないと思うがそれでも知らない人がやって来るのは緊張する、と美沙は思う。烏野に来てから少しマシになったとはいえ元来の人見知りが克服された訳ではない。そういえば義兄に相手さんは関西弁OKなのか聞くのを忘れていた。言葉については相手の出方を待たねばなるまい。ダメなら少し辛いが標準語で通すしかないだろう。
そんな事を考えながら美沙はカランコロンと下駄を鳴らし、気を紛らわせようとふんふん歌いながら歩き続けた。歌うのは構わないがこの後を思うと選曲は考えるべきだったと思われる。

力は赤葦を迎えに行き、ちょうど一緒に自宅へ向かっているところだった。

「すんなり来れたみたいだね。」
「おかげさまで。」
「梟谷のみんなは元気。」
「相変わらずだよ、木兎さんは年中あれだし、こっち来るまでもうるさいのなんのって。ああ、縁下君とこに行くとは言ってないから大丈夫。」
「まぁ木兎さんが俺を覚えてるとは思えないけど。」

力は苦笑するが赤葦はそれがね、と続ける。

「烏野に何か地味で面白いのがいたけど何て奴だっけとかなんとか言ってたんだよな。あの人には珍しい。」
「うーん。」

力は苦笑しつつ唸った。存在を忘れられてしばしば悲しい思いをすることはあるが木兎には覚えてもらわない方が後々楽な気がする。

「まぁ木兎さんには覚えてもらわない方が縁下君としては楽だよな。」
「いや俺別に」
「バレバレだから。」
「何か俺最近そんなのばっかだな。」

力はやれやれとため息をつきつつ赤葦と歩き続ける。ぼつぼつ家まで近くなってきた頃合いだった。
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