第5章 【花見】
わいわい言いながら烏野高校男子排球部プラス縁下美沙の一行は花見の場所についた。何とか場所も工面して高校生15人、それも大半が野郎共、が陣取る様はちょっと面白いかもしれない。
「わぁ、綺麗だねぇ。」
桜の木を見上げて谷地が目を細めた。
「せやなぁ、風情あるなぁ。」
「何か美沙さんらしいね、言い方。」
「せやろか。」
ハラハラ落ちる花びら、美沙はそれを眺めながらもどうも落ち着かずゴソゴソする。
「美沙ちゃん、お茶飲む。」
清水が紙コップを差し出した。
「あ、ありがとうございます、清水先輩。」
「遠慮しないで。」
「どうも。」
お茶を入れてもらった紙コップを受け取りながら美沙はキョロキョロして挙動不審丸出しだ。
「美沙さん、どうしたの、大丈夫。」
谷地が言った。
「あう、いや、その。今更なんやけど私混じって良かったんかなって。」
「大丈夫。」
清水が静かに言った。
「いっとう最初に西谷が連れてこいってノリだったから。」
「西谷さん、すっかり美沙さん身内だと思ってますもんね。」
谷地がアハハと笑う。
「そうやったんですか。」
美沙は呟く。義兄の力からはそこまで話がなかったのだ。
「後でお礼いうとこ。」
「そうしてあげて。きっと喜ぶ。」
清水は微笑み、美沙はこの人はホンマお綺麗やなぁ、桜バックで更に映えてるなぁとこっそり見とれてみたりなどした。
一方の野郎共はこんな様子である。
「龍っ、潔子さんが笑っておられるぞっ。」
「女神だ、流石俺らの女神だ。つかノヤっさんでかしたぞ、やっちゃんに加えて縁下妹が来たおかげで潔子さんの笑顔率大幅アップだ。」
「流石俺だぜっ。」
ドヤ顔をする西谷に美沙の義兄である力はお前らな、と呆れ顏をする。
「まさかそんな意図でうちの美沙に来いっつったのか。」
「ちげーよ力、言っただろ、あいつ俺らの身内みてーなもんじゃん。」
言う西谷に田中もそーそーと同調する。
「あんだけお前が部活に連れてきてよ、最近はそこまでしなくても一緒に帰ってんだ、はみ子にしてやるこたねーだろ。」
「お前らのそういうところは本当助かるよ。」
「だけどさー」
ここで口を挟んだのは木下である。