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【ハイキュー】エンノシタイモウト第二部

第26章 【外伝 怪童と義兄妹】


「立ち入ったことを聞くがその怪我は。」
「友達が男バレのマネージャーなんですけど、その子が他所の馬鹿野郎に絡まれてたんで割って入ったらこんな事に。」

割って入って何故湿布や絆創膏やミミズ腫れになるのか。思わず牛島はそれも尋ねてしまい、しかも奇妙な存在は答えた。

「どうも相手さんはウルトラ短気だったようで、かわい子ちゃんにちょっかいかけようとしたらブスに割って入られたのが気に入らなかったみたいです。ブスなら多少蹴ったり突き飛ばしたりしてもいいと思ったんでしょう、頭悪い奴だとは思いますが。」
「抵抗したのか。」
「突き飛ばされた後に文句は言いました。最悪肉弾戦になっても私は大会控えてるような部活に入ってる訳じゃなし、どうとでもなりますが。」
「なるのか。」
「自分のせいでチームが出場停止とかそんなんになるリスクは背負ってませんからね。」

淡々と語る少女は牛島からするとますます奇妙な存在に見えた。

「あくまで例えばの話ですよ、念の為。」
「自分に非があるのに人に怪我を負わせるというのはどうなんだ。」
「そんな事がわかる奴なら最初から私の友達にいらんことはしないでしょう。いいんですよ、友達は無事ですから。」

ますますおかしな奴だと牛島は思った。

「お前は無事に済まなかった、それはいいのか。」
「いいんです、帰ったらどのみち親に報告します。問題があるとすれば兄がなんと言うやら。」
「親より兄か。」
「近しい間柄でいつも心配してくれてるので。私に何かあると泣きそうな顔するのが辛いところです。」
「いい兄だな。」
「はい、自慢の兄です。」

奇妙な存在はここで初めて牛島に目を合わせて笑った。笑ってくれるのはいいが片眉と口元の絆創膏が痛々しくてあまり気分がよろしくない。ここでふと牛島は気がつく。

「友達はバレー部のマネージャーと言ったな。」
「ええ、コンクリート出身のチームです。」

聞き覚えのあるフレーズに牛島はかすかに眉を痙攣(けいれん)させた。

「ヒナタ ショウヨウ。」

牛島は呟いた。

「烏野か。」
「はい。日向はクラスが違いますが学年は一緒です。時々言ってるんですよね、コンクリート出身の力見せてやるんだって。」
「お前は何者だ。」
「只者です、烏野の男バレの皆さんとちっと知り合いってだけで。」
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