第25章 【守りたいのに】
「あの優男とウシワカがあの縁下妹に何かしたりするかぁ。」
「牛島さんはともかく及川さんが近くにいるってのが気に入らない。」
「結局それかよっ。」
「力、マジで美沙の保護者だなっ。」
「もし妹から他に嫁に行くって言われたらどーすんだ。」
「木下、今その冗談は洒落にならないぞ。」
「何でもいいよ。」
力は2年仲間に言い、他の連中に向き直って言った。
「とりあえず俺行ってきます。あ、谷地さん、もう心配ないからホント気にしないで。お疲れ様でした。」
そうして力は挨拶もそこそこに義妹の元へ急ぐ。義妹が怖い思いをしている訳ではなさそうだが自分の見ていないところで慣れない相手と話しているという状況が力を早く美沙のところへと急き立てていた。
「縁下、たたたた大変だな。」
力が走り去った後、東峰がガクガク震えながら言った。
「怪我してるのにウロウロしてしかもウシワカと喋ってたとか美沙さんはちょいちょい大胆だな。」
横で澤村も言う。
「いや及川とウシワカにでくわしたのは逆に良かったかもな。」
菅原が言った。
「美沙ちゃんがこんな時間まで外ウロウロしてたってことは多分縁下と親にどう言おうか悩んで家になかなか帰れなかったんだろ。1人きりよかはずっとマシだよ。」
「美沙さん」
谷地がポツリと呟き、清水に肩をポンと叩かれた。
次章へ続く