第25章 【守りたいのに】
「谷地さん、辛いとこありがとう。気にしないで、谷地さんがわるいんじゃないよ。美沙だって谷地さんにどうこう思ってやしないよ。」
「縁下さん」
「むしろ美沙は谷地さんが泣いちゃった方気にするから、ね。」
谷地は頷き、なんとか落ち着こうと努力を見せた。
「しかし呆れた妹ですね。」
「ツッキーっ。」
容赦なく言う月島に山口が声を上げるが月島は続けた。
「躾(しつけ)が足りないんじゃないですか、縁下さん。人を助けるならまず自分の安全も確保しないと。あいつ、人の為にキレて面倒ごとに飛び込んだのこれで何度目なんです。」
「月島、それは」
「やめてあげて」
谷地がまだヒックとしながら口を挟む。
「月島君、美沙さんね、最初はそっと割って入って、私をどけてくれて、自分もスルーして、穏便に済まそうとしてくれたの、なのに、なのにあの人が、急に美沙さん捕まえて」
月島はふーんと言う。
「あいつなりに努力はした訳か。すみませんでした、縁下さん。」
「いや月島、こっちこそすまないな。」
月島の意図を汲んで力は答えるがやはりと言うべきか単細胞組が首を傾げる。
「おい、月島。お前ままコが嫌(きれ)ぇなのか。」
「は。」
「そーだそーだ、いっつも美沙の事きつく言ってよー。」
「何言ってんの君ら、本当馬鹿だね。あ、あいつなら阿呆って言うのかな。」
「ムッキー、月島に阿呆って言われたら何かムッチャ腹立つーっ。」
またわあわあやりだしそうな1年達、力は素早く割って入る。
「日向、影山、やめな。月島は心配してくれてるんだよ。」
「そーなんすか。」
「そーなの、山口。」
「そーだよ、日向。ツッキーってば縁下さんと美沙さんの事ホント心配してるよね。」
「山口うるさい。」
とりあえず1年達は落ち着いた。谷地も清水についてもらい、かなり落ち着いてきたようだ。
「にしても何て野郎だっ、やっちゃん泣かせて。女子いじめるなんて男のすることかっ。」
「おうよ、縁下妹にも怪我させるたぁ良い度胸じゃねぇか、見かけたらギッタンギッタンに。」