第24章 【合宿 終幕】
赤葦はふむ、と呟き、
「確かにラッキーだな。」
「ホントね。」
「で、帰ったら抱っこか。」
「やめてくれよ、他に聞こえる。」
慌てる力を見て赤葦がニヤリとする。そうしているうちに、
「えんのしたぁー。」
「あかーしー。」
それぞれのチームから2人は呼ばれる。
「じゃあもう俺行くね。」
「ああ。」
「また会おう。」
「そうだな。あと、ままコさんによろしく。」
「伝えとくよ、でも俺が怒られるかも。」
「頑張って。」
「もう。」
言いながら2人はあははと笑い合い、そして別れて帰路についたのだった。
その後は乗り物の中でも殆ど眠ってばかりでよく覚えていない。ふと気づけば宮城に戻っていて、なんやかんやで力は半分眠っているような状態で自宅にたどり着いた。力のいつにない寝ぼけぶりを考えると無事だったのは奇跡的である。そんな状態で力は何とか家のドアを開ける。
「ただいまー。」
「兄さん、おかえり。」
今やすっかり普通の関西弁イントネーション、義妹の美沙が玄関まで迎えてくれた。大した期間ではなかったのに力は随分義妹の顔を見ていない気分になる。
「ああ、美沙。」
力は言って思わず義妹に向かって両腕を伸ばす。しかし緊張が解けたせいか疲れと眠気が一気に押し寄せ、足元がふらついた。
「ちよっ、兄さんっ。」
筋肉質の野郎にもたれかかられて美沙が声を上げるが力はすぐに反応出来ない。
「あかんでここで寝たら。あと私非力やから支えられへんしって、兄さんっ。」
小さな手で肩のあたりをペシペシと叩かれて力はかろうじて意識を取り戻した。美沙に見守られながら何とか二階の自室に上がり、着替えるところまでは出来た。しかしその後力はベッドに倒れこんでしまい、そのまま意識を手放した。