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【ハイキュー】エンノシタイモウト第二部

第4章 【待ち合わせ】


そして花見当日である。

「美沙、そろそろ行こうか。」
「うん。えーと、お弁当良し、鞄よし。」
「スマホケースは。」
「装備済であります。」
「帽子は。」
「装着済であります。」
「日焼け止めは。」
「塗布(とふ)済であります。」
「面倒くさいからまとめて言うけどどこの蛙軍曹だ、お前は。」
「赤い伍長が一番好き。」
「うん、黙ろうか。」

力に笑顔で圧力をかけられ、美沙は怒られたとしょぼんとした顔をし、しかしすぐ回復して荷物を手に取る。

「いってきまーす」

兄妹は同時に元気よく言い、よく晴れた外へ出かけて行った。

「ええ天気やねぇ。」
「うん、晴れて良かったよ。」

兄妹は話しながら歩く。歩きながら義妹の顔が珍しく自然に笑っているのに力は気がついた。

「嬉しそうだな。」
「え、あっ、うん。」
「別に慌てなくてもいいだろ。」
「せやかて」

顔を赤くする美沙の頭を力はポムポムした。

「照れなくてもいいよ、素直に嬉しいならそれでいい。」
「う、うん。」

美沙はモゴモゴ言って帽子のつばをくいっと下げた。

「私、こういうのも初めて、お弁当作ってみんなとどっか行くいうん。」

意図せずぽつりと呟かれた義妹の言葉に力は少し胸が痛んだ。自分もちょくちょく存在を忘れられたり何かと面倒を押し付けられたりと損な事が多い。それでも自分の場合はまだ認めてくれる仲間もいる。だが美沙の場合は自分以上に孤独な事が多かったと聞いた。強がりながらようやっと耐えてきたのだろうか。

「じゃあ今日はその分楽しもうか。」

せっかくの晴れの日に暗くなりそうな思考を振り払って力は言った。自分が暗くなってどうする。

「うん。」

義妹はもう一度笑った。

話しながら歩いているうちに兄妹は集合場所にたどり着いた。既に3年と田中、西谷が来ている。

「お、ラブラブ兄妹が来た来た。」

兄妹の姿に気づいた菅原が早速おちょくる。

「朝っぱらからなんというっ。」
「菅原さん、やめてくださいっ。」
「あれ、俺何か間違えたっけ。」

しれっとのたまう菅原に東峰が慌てた。

「すすすスガ、やめてやれって。あ、2人共おはよう。」
「おはようございます。」
「流石縁下の兄妹だな、ちゃんと早めに来る。」

澤村がハハハと笑いながら言った。
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