第23章 【合宿 第六幕】
"まま兄(あに)キター"
"お兄さん、ばんわっす"
"まだ起きてたのかw"
"まま兄貴、寝なくていいんすか"
"妹さんください"
「ちょちょちょ、兄さん、何しとんの、起きてるのバレたらどないすんのっ。あと兄さんに向かって妹くださいは禁句っ。」
パニックになるままコこと美沙に更なるコメントを打つ力、赤葦は吹き出すのをこらえるのに必死だった。
「どないしょう、どないしょう。」
力のスマホから控えめだが明らかに動揺した関西弁が聞こえる。
「兄さんが帰ってきたら怒られるー。」
"主、ドンマイ"
"まま兄、ナイス乱入!"
"まま兄さん、通信制限には気をつけて"
赤葦は一連の様子を傍観してクスクス笑っていたが、
「ちょっと縁下君、勝手に何をコメントしてる訳。」
「別にいいだろ。」
「よかないよ。」
またもふぎゃああああと叫ぶハンドルネームままコの声を聞きなら赤葦は俺も叫びたい、と思った。
「何勝手に合宿先の他校の人と見てるなんてコメント入れたの。」
「面白いかなと思って。」
にっこり笑って言う縁下力に赤葦は苦笑しながらこいつ、と思った。
「君が頭になった時の烏野が怖いな。」
ハンドルネームままコこと縁下美沙は画面の向こうでまだ声を上げていた。
「何で他校の人にバラしてるんよーっ、兄さんのアホーッ。」
「妹さんが喚いてるよ、どうすんの。」
「家帰ったらお仕置き。」
「何かやらしく聞こえる。」
「ええっ。」
スマホの向こうではまだ縁下美沙が叫んでいた。
次章へ続く