第13章 ★狂い出す歯車★
虹村『っと、そうだ零蘭』
『はい』
虹村『その...今日一緒に帰らねぇーか?』
『え?』
虹村『赤司、今日は譲ってくれねぇか?』
赤司『....分かりました。じゃあ零蘭、また明日』
『う、うん...』
修さん、珍しい...どうしたんだろう?
職員室への用も済ませ、修さんと一緒に帰り道を歩く
『あの、修さん』
虹村『さっきの話お前も聞いただろ?』
『え?あ、はい』
虹村『親父がな、治療のためにアメリカに行くんだよ。俺も、家族も....だけど親父は俺に中学卒業したら来いって言われてる。ちゃんと終わらせてから、な』
嘘...卒業したら、アメリカに?
虹村『その前に、お前とこうして帰りたかったんだよ』
繋がれた手に力が強まるのを感じる
『修さん...』
虹村『だから決めた、必ず全中二連覇を達成させてやるって...そして、お前としたいことも全部するって』
修さんは立ち止まって私を抱き締める
心なしか何かにすがるように....
虹村『零蘭、俺を支えてくれ。そして、赤司を助けてやってくれ。あいつは主将になってもなんら変わんねぇと思うが、それでもプレッシャーはある。それを少しでも和らげてやってほしい』
『修さん、貴方はもう少し我が儘を言ってください...欲が無さすぎです』
涙が出そうだった....自分よりも後輩への気遣いを優先にするその優しさに...
虹村『あのなぁ、俺が欲を言っちまったらお前困らせるから却下だ』
優しく低い声が耳に入り込む
虹村『今すぐにここでお前を抱きたいとか、アメリカに連れていきたいとか、んなことばっか考えてんだよ。でもお前はあいつらと一緒に最後までバスケしててほしいんだよ』
『それが、修さんの望みですか?』
虹村『おう!』
『分かりました。主将じゃない修さんも修さんです。全中、二連覇。必ず達成させましょう』
虹村『たりめぇーだ!』