第12章 ★邪魔者はどっち?★
その後家の前まで黄瀬に送られ、別れのキスをしてから零蘭は家に入った
朔夜『お帰りなさいませ、零蘭様』
『ただいま、朔夜』
朔夜『今日は酷くお疲れのようですね。何かあったのですか?』
『まぁ、ね。また彼らを狙った勘違いさんが来たのよ』
零蘭の言葉を聞いた朔夜は目を見開き、突然強く零蘭の肩を掴んだ
朔夜『!!何かお怪我はありませんでしたか!?』
『わっ、ビックリした!大丈夫よ朔夜。私は何もなかったわ』
朔夜『っ.....そう、ですか。申し訳ありません、取り乱しました』
『いいのよ、貴方がそうなるのは無理もないわ』
自室へと戻った零蘭はベッドの上に寝転がるとそっと瞳を閉じる
浮かぶのは去年のちょうど今頃
去年、同じように転校生が自分達のクラスに現れたことがあった
一見普通の女子生徒だと誰もが思っていた
だがその転校生は転校初日からバスケ部にマネージャーとして入りると、今日と似たような手を初め次々と嫌がらせを繰り返し、当時の一軍マネージャーの一人を自殺まで追い込んだ
その転校生は愛坂のようにあからさまな媚びを売ってはおらず、あくまで「普通」を演じていたため、選手達は疑わなかった
次のターゲットになったのは、零蘭ではなく桃井だった
いち早く気づいた零蘭はわざと目立つように、目をつけられるように振る舞い、ターゲットを自分に移させることで桃井を救った
しかし、その転校生から受ける仕打ちは零蘭にとって大きな負担となった。選手達に迷惑をかけることを嫌う零蘭は誰にも告げずにひたすら耐えた
二ヶ月後...あるとき零蘭は不意をつかれ、階段の上から突き落とされその衝撃暫く意識を失い、病院に送られるという事件が起きた
流石に赤司達は彼女が傷付いたこと、その原因が転校生によるものだと気づき
怒り狂い、追放した.....
本当ならば殺してしまう寸前まで報復しようとした彼らだったが、零蘭の事を思い踏みとどまった
『私はもう、あんな風にはならない。二度と、彼等を心配させることなく、終わらせてみせる....』