第3章 ★非日常的日常★
敦の長い腕が私を抱き締める。あぁ、やっぱりこの大きな体に包まれると心なしか安心する。私も彼の胸に顔を軽く押し付け背中に腕を回す。
?『零蘭を離せ、バカが。』
声のした方を振り替えれば、明らかに不機嫌な表情でこちらを見つめ、眼鏡を指で押し上げる彼がいた。
紫原『ちょっと~、朝からつっかからないでよミドちん。』
緑間『だったらさっさと彼女を離せ。零蘭、早くこっちへ来い。』
そう言って私に手を差し出す真太郎。
紫原『白ち~ん。行かないでよ~?』
抱き締める力を少し強める敦。
困ったもんだ。
『もう、喧嘩しないで。ほら、二人ともいくよ?』
敦の腕からすり抜け先に歩き出せば慌てて二人は追ってきて、敦が私の右手を、真太郎が左手を取る。
そして私達はそのまま学校へと向かっていった。
体育館に着き、二人は着替えるためにロッカールームへ。私はマネージャーが使用している空き部屋に入っていった。
部屋に入ると着ていたセーターを脱ぎ、その上に黒のパーカーを羽織る。そして一軍の分のドリンクとタオルを用意する。
一通り作業が終わったので部屋を出てコートに出てみる。私達はいつも早めにここに来るので個人練習している人はいない。
『敦達は今着替えてるだろうし。よし!』
私は靴をバッシュに履き替え、籠の中から一つボールを取りだし、近くにあるゴールに向かっていきなりスリーを打ってみた。
すると綺麗にリングをかすることもなくボールは入った。
『うん、鈍ってないね。』
今度はドリブルからのレイアップを決めようとした、、
バシッ!
だが私の手から離れたボールは不意に横から現れた誰かによって弾かれた。
『いつからいたの?征十郎?』
ボールをカットした彼は私に向かって優しい笑みを浮かべる。
赤司『今さっき着替えを済ませた所だ。そしたら零蘭が丁度レイアップをしようとしていたからつい、ね。』
『もう、ビックリした。』
むう、と頬を膨らませると征十郎は困ったような笑みになり近づいてきたかと思うと私の頬を撫でる。
赤司『すまない(苦笑)だけど、流石だね零蘭。本当に君は、強いよ。』