第10章 ★不幸中の幸い★【虹村修造】
先生『ええ、任せてちょうだい』
征十郎は軽く頭を下げて保健室から出ていった
先生『はい、体温計』
『ありがとうございます』
体温計を脇の下に入れてじっと待つ
先生『白崎さん、愛されてるわね♪』
『え?』
先生『だってここまで女子を大事に運んでくれて心配までしてくれる男子なんて、そうそう居ないわよ?』
『はあ、』
先生『それに赤司君のあの目、よっぽど貴女の事が大切だって分かるわ。いいわねぇ、青春って感じで♪』
ピピッ
『よいしょ、38.6℃です』
完璧熱じゃない(泣)
先生『風邪ね。暫く休んでなさい。家に連絡して今日は早退することね』
『あっ、家になら自分でかけます』
先生『あら、そう?』
突然電話が鳴り、直ぐ様先生は受話器をとる
内容は分からないけど何か切羽詰まってるみたい
『何かあったんですか?』
先生『急に出なきゃ行けなくなっちゃってね。白崎さん、担任の先生には言っておくし帰りなさいね。焦って連絡しなくていいから。悪いけど先生、もう行くけど一人で大丈夫?』
『はい、少し休んでそれから連絡して帰らせてもらいます』
先生『分かったわ。じゃあ、お大事にね』
と言って先生は早歩きで出ていった
辺りが静かになり、私はそっと目を閉じた
〔虹村修造〕
っ!!ついてねぇ!
さっきまで体育の授業だった俺はサッカーで相手と縺れて左の足首を捻ったっぽい
歩くと結構痛かったもんだから保健室へ行けと言われ、今まさに向かってる所だ
それにしてもマジで痛てぇ
今日の部活に響くな、こりゃ
なんて思いながら俺は保健室のドアを開いた
ガラッ
虹村『先生、っていねぇのかよ』
マジか
俺処置とかわかんねぇし、だけどこのまま帰んのも出来ねぇし
虹村『あー、マジでどうすりゃ』
『あの、』
突然ベッドの奥から声が聞こえた
ヤベッ、寝てるの起こしたか!?
『良かったら、手当てしましょうか?』
シャッとカーテンが開き、声の主が上半身だけ起こして俺を見ていた
って
虹村『零蘭!?』
『修さん?』