第1章 どうしてこうなった
ー少々遡るー
いつもの帰り道。
私は、何事もなく歩いていた。
今日は職員会議があるからって、生徒は早めの下校。
帰ったらまた勉強しなきゃと、ちょっと憂鬱だったけど。
…とまぁ、普通に帰ってたわけで。
でも、とある曲がり角。
いきなり、人にぶつかった。
注意はしてたつもりだったんだけど。
ぶつかってきた人は、私の顔を見たとたん、固まった。
私も、その人の顔を見て、固まった。
だけど、それは一瞬のこと。
近くの茂みに、その人に連れ込まれ
「お願い、身代わりになって!」
と頼まれた。
普通なら、引き受けないと思うでしょ?
でも、私は思わず引き受けちゃったんだ。
なんでかって?
だって、顔も体格も服もなにもかも
一緒だったんだもん。
正に、一卵性双生児みたいな。
ドッペルゲンガーにでも会ったのかと思った。最初は。
私が返事をしたのと同時に、ごっつい声が聞こえてきた。
その人は、急いで立ち上がり、逃げようとした。
「ちょ、ちょっと待って!名前、名前教えてよ!私は篠山 茜!」
半分叫ぶように言うと、その人は立ち止まって
「神崎 眞季」
それだけ言って、走っていった。
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