第1章 どうしてこうなった
暫く無言で二人して長い縁側を歩く。
外からは、風によって微かに葉が擦れ合う音が聞こえるだけ。
静寂に耐えかねて、私は意を決して悠真くんに話しかけた。
「あ、あのさ、源さんって…どういう人?」
私が問うと、悠真くんは横目で私を見やり、少しの間の後話し始めた。
「…源さんは、鎹組のお抱えの医者だ。腕は申し分ない」
「へぇ、そうなんだ…」
またもや静寂が広がる。
つ、辛い……
心の内で泣きながら、何処へ向かっているのかも分からない道を、ただひたすらに歩く。
というか、ほんと何時まで歩けばいいんだろう…。
小さく溜め息を吐いた時、悠真くんが突然足を止めた。
不思議に思って悠真くんの方へ目を向けると、決して大きいとは言えない襖がポツンと存在している。
悠真くんはおもむろに襖に手をかけ、何も言わず開けた。
ちょいっ!?せめて声かけるとかしないの!?!?
その行動に唖然としていると、部屋の中から渋くて、それでいて優しさが含まれた声が聞こえてきた。