第9章 衝突2
「夢、朝から大変だったね…」
「うん…」
あれから先生といろいろ話した。
噂の事は先生達の耳にも入っていたみたいで、噂の的になった美月と白河を気にかける様にしていたらしい。
今回の件で夢もその中に入る事になり、何か分かったらちゃんと先生に話す様に言われ、この話は終わった。
「私、今日早めに来たのに全然気づかなかったよ…」
自分の事の様に落ち込んでいる友人が有難かった。
「そんな…佳奈ちゃんが来た後にやられたかもしんないしっ」
「…あたし…もしかしたら見てたかも…」
「「え?」」
俯きながら言ったのは、もう一人の友人だ。
「朝練でバタバタしてたからさ…ちらっとしか見てなかったけど複数の先輩が固まって何かしてるの見たんだよね…」
「え!?」
「1年の所かなとは思ってたけど、まさか夢の靴箱だなんて思わなくて…ごめん!」
「そんな…朝練で忙しかったんでしょ?」
「でも〜…」
「何やってるか見えたの?」
「そこまで見てないけど…でもその先輩の事は知ってる…」
「え…」
「あ〜やっぱ先生に言った方がいいよね〜?」
半泣きで焦った様に身体を揺らす友人を宥める。
(確かに一応先生に言った方がいいかもしれない…)
「でも…下手するとあんたまで目つけられるかも…」
そう言って佳奈は慌てて手を口に充てる。
「…ごめん!夢が一番嫌な思いしたのに…」
「ううん」
誰だってあんな事する人に目をつけられたくはない。二の舞になりたくないと思うのは当然だろう。逆の立場だったら自分もそう思ってしまったかもしれない。
友人は責められない。