第3章 秘密
帰り道。
出会ったばかりの二人。
会話はない。
夢は、気まずさを感じていた。
(そもそも私、初めて男の人と二人っきりで帰ってるよ…!)
クラスの男子でも話をする時は、ひどく緊張する。
あまりそんな機会はないのだが。しかし、成長するにつれて、異性が近くにいると意識してしまっていた。
だからこそ、妄想の世界に逃げていたのかもしれない。
(帰り道…二人っきり…これがきっかけで、二人は仲良くなっていって、いろんな事件やすれ違いを通して、惹かれあって…)
現実にはならないだろうという前提の妄想なので、どんどん膨れ上がり、顔が自然とにやける。
(最後は恋人になって…Hな事も…きゃ〜///)
少しずつ顔だけじゃなく、身体も火照っていく。
(はぁ…。…さすがに先輩に失礼だよね…)
ここが外で、すぐ側に白河がいる事を思いだし、我にかえる。
「………………。」
ふと視線を感じて見ると、白河が無言で夢を見ていた。
(やばい。妄想してたのバレた!?)
夢は、全身に冷や水を浴びせられた気分になった。
血の気が引いた。