第6章 ゲスの極み【天童 覚】
その発言にすかさず
「あれ〜?
先生、〇〇って呼ぶの、
辞めちゃったんですかァ?」
とツッコミを入れる天童くん
「ち、ちがっ、
〇〇っ!どうなんだ!
う、浮気してたのかっ!?」
最早ボロが出まくりの
猪谷先生…
私はコクリ…と頷き
わけも分からないまま天童くんの話に
のっかった。
「そ、そんな……」
物凄くショックを受けた様子の猪谷先生
そんな顔しても、
レイプしようとしたことは
取り消せませんから!
一瞬力が弱まったスキに
バッと机から飛び降り、
無我夢中で天童くんのいる
扉の方にかけ出す。
「□□先生……□□…」
後ろで猪谷先生がボソボソと
何かを言う声が聞こえたが
無視して走ってその場を離れた。
**
保健室
ガラガラ…ガチャン
扉を閉めて鍵をかけ
一息つくと
どっと疲れが押し寄せてきた
『ハァ…ハァ……』
久々に全力で走ったせいか
息が上がる私。
こんなに走ったの
高校生ぶりじゃない!?
そんな私とは裏腹に
余裕な表情の天童くん
「□□センセー…
体力なさすぎじゃない?
これぐらいで肩で息してるとか…」
なんならちょっと引かれてる…?
『し、仕方ないでしょ!
こんな走ったの久々で…』
って、ちゃんとお礼を言わないと!
『あ、あと本当にありがとう…
私…何もできなくて…』
ぺこりと頭を下げる私に
「いーよー。
俺、気持ちいいことは好きだけど
強姦とかマジで許せないからさ」
と言って頭をポンポンと
撫でてくれる。
『…//』
(うー、何このイケメン
顔はそんなでもないくせに〜//)
なんだか恋愛モードに突入しそうな
雰囲気を察して
『…てか、あついなぁ~
扇風機つけよ…』
と、天童くんから離れる
私は白衣を脱いで椅子にかけ
パタパタと手で自分の首筋辺りを仰いだ
気づけば時計は20:00前になっていた。
その後話すことも無くて
暫く静寂が続く…