第5章 悪役令嬢の憂鬱【黒尾 鉄朗】
ふと真面目な顔に戻った鉄朗様が
「〇〇…掴まれ……」
と言って、お姫様抱っこで
どこかに連れていかれた…
**
シャァァー
連れてこられたのは
風呂場…
というか、
湯浴み場?
銭湯並みの大浴場に
服を着たまま
入っていく鉄朗様…
チャプ…
『て、鉄朗様っ…!?//』
そして、
鉄朗様に後ろから抱っこされる形で
湯船に入れられる。
「昨日の夜は
リエーフになにされた…?」
耳元で囁かれて
きゅんっと胸が締め付けられる。
『な、なにって…//』
「…監禁されてたんだろ?
何された?…」
ぎゅうっと抱き締める力を
強める鉄朗様。
『……き、キスを…されました…』
目をぎゅっととじて
吐き捨てるようにそう言うと
「……ほぉ…?
俺ともまだした事ないのに?」
と、予想外の答え…
『えっ!?!?…//』
(そうなの…!?!?//)
驚いて、彼の方を振り返ると
「ん?……なんだ?
驚いた顔して…」
と、逆に驚き返された。
『あ、いや…なんでも…//』
(まずい、キスくらいしたことあると思って
ビックリしちゃったよ…)
私はそーっと顔を戻そうとするが…
「……おい、
お前なんか隠してんだろ?
他の奴と俺を間違えたわけじゃねぇよな?」
顎を掴まれて
顔を鉄朗様の方に無理やり向けられる。
『うっ、ち、ちがいますわ…//』
誤解をとこうとするが、
彼のドSスイッチがONになってしまった。
「ほぉ……
じゃあ、リエーフに何処にキスされたか
1つずつ言ってみろ…」
グイッと
抱きしめられて、
体が水にフワッと浮いたかと思ったら
ガシッとお腹を鉄朗様の腕で
後ろから抱きとめられて
太腿と太腿の間に彼の足が入ってきて
パカッと開かれる。
『いっ、いやぁっ…///』
自分のあまりにも恥ずかしい格好に
思わず情けない声が漏れる。
「早く答えないと…
手がどんどん下に伸びてくからな…」
耳元で囁かれて
ドキッと心臓が跳ねる。
「ほら…はやく…」
その言葉とスカートの方に伸びる手に
急かされて
『く、首筋……と…おなか……」
と答えた私。
胸はどうしても言えなかった。
「それだけぇ?……」
意地悪そうにそう言う鉄朗様。
『は、はい…//』