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[R18]ハイキュー!!(裏短編集)

第5章 悪役令嬢の憂鬱【黒尾 鉄朗】




パタンと部屋の扉を閉め…

なんの用か聞こうとした時、

「研磨に何かしたか?」

窓に向かったまま
私に見向きもせず
こう尋ねられた。

『…?
研磨様?』

私は突拍子もない質問に
マヌケな声が出てしまった。

「…さっき研磨が
お前から貰ったチェス盤を
大事そうに抱えて
泣きそうな顔で帰ってきた。」

ふと、白鳥麗子の顔が浮かんだ。

(…でも、
なんの証拠もなしに決めつけるのもね…

私の目の前では
泣くほどのことはされて
いないようだったけど…)

『…少し、心当たりがありますが…

証拠がありませんし…
何より鉄朗様が
気分を害されるかもしれません。』

私はこう言いながら
鉄朗様がいる窓側とは
反対側のソファに座った。

「…ふん。いいから
言ってみろ…」

私は何を言われても
傷つかない覚悟をして
彼に放課後のことを話した。

『…放課後、校庭の噴水近くで
研磨様と白鳥さんが揉めていました。』

「…麗子が?」

鉄朗様は初めてこちらを振り返り
向かい側のソファに座って
私の話を聞き始めた。

(白鳥さんの話には興味津々ね…)

『…ええ。
白鳥さんは研磨様の大切にしている
チェス盤を取り、
返して欲しければ鉄朗様の部屋に上げろと
言っておりました。』

「ほぉ?…」

『私はその間に割って入り、
何故、鉄郎様の部屋に上がりたいのか
と聞きましたが、
白鳥さんは理由を言わず、
チェス盤を私に返して
去っていきました。

私が思い当たるのは
この事だけです。』

「……なるほど。」

『ですから、
研磨様は貴方と白鳥さんの痴話喧嘩に
巻き込まれただけだと思いますわ。』

(ってか、現在進行形で
私も巻き込まれてるけどね!!)

私は笑顔を崩さないよう話したが、
心の中では中指を立てて舌を出していた。

「痴話喧嘩ねぇ…

ていうか、
〇〇こそ、いつの間に
あんなにリエーフと仲良くなったのかなァ?」

鉄朗様の声が少し強ばる。

(うわっ、
お前はどーなんだよ?って顔してる。)

『リエーフ様とは
たまたま、ベンチで会うだけですわ。

怪しい関係ではありません。』

私はプイッと顔を逸らして
表情を悟られないようにする。

「へぇ…最近では
俺の隣になんて来ないのに
リエーフが相手だと
あんなに親密そうに
隣に座れるんだー?」


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