第5章 悪役令嬢の憂鬱【黒尾 鉄朗】
屋敷に帰り、自室にこもる。
制服のままソファに腰掛けて
紅茶を飲みながら
今日あった出来事を振り返る。
まず第一王子の鉄朗様、
スポーツ万能で、生徒会長もこなす
文武両道な優等生。
学校中の女子の憧れの的。
ここまではゲームの設定通りね。
普段は俺様っぽい態度で
婚約者の私に対しては
素っ気ない態度だった。
脈ナシの可能性が高いわね……
しかも、白鳥麗子とは
冗談を言い合うほどの仲…
『はぁ…どうしたものかしら…』
そして、第二王子の研磨様は
無口でクール、IQ200以上の天才で
超頭脳派な優等生。
一部の女子に圧倒的な人気を誇る。
普段はちょっとヘタレっぽい感じ?
白鳥麗子よりは私の方に
好感を持ってくれてるみたい。
リエーフ情報では私があげたチェス盤を
大切にしてくれてるようだし、
鉄朗様よりは頼りになるかも…
最後に第三王子のリエーフ様、
明るくて元気で人懐っこい感じ。
運動神経がずば抜けており、
その性格からか男女問わず人気者。
そして、言わずもがな〇〇とは
毎日のようにお喋りをする仲。
でも恐らく彼のファンからも
鉄朗様のファンからも
この関係は良く思われていない…
『リエーフ様とは少し距離を置いた方が
良いかもしれないわね…』
やっぱり、
研磨様に取り入って
鉄郎様に婚約破棄を
言い渡されても
死刑や、追放を免れるよう
助言してもらうのが賢いかも…
でも、研磨様の警戒心は並では無さそうだし…
(うーん…)
と頭を悩ませていると
コンコンとノックの音と
「〇〇様、黒尾 鉄郎様が
お見えになっております。」
という、側近の声。
『!?!?』
(何ですって!?)
ドキッとして
すぐに立ち上がり、
部屋の扉を開けると…
「邪魔するぜ…」
と、いきなり部屋にあがりこんでくる。
『ごきげんよう…鉄朗様…』
側近に
(なんの用事なんです?…)
と耳打ちするが、
(私にも…)
と困った様子…
ひとまず、使用人を部屋から追い出し
2人きりになった。