第4章 大きいね【牛島 若利】
3度目のデート…
私たちは水族館に遊びに来ていた。
彼の練習や、私の仕事のため、
時間がなかなか作れず、
お見合いから半年が経っていた。
友達以上恋人未満な関係が
こんなにも続いたのは初めてだった。
(この関係はこの関係で、
何だか新鮮なのよね…)
ぼーっとそんなことを考えていると
「〇〇さん、
ソフトクリームが…汗」
急に現実に引き戻される。
若利くんが指さす方向には
私の右手のコーンから
垂れていくソフトクリーム…
『あぁ!大変!』
急いで食べようとすると
ガシッと腕を掴まれて
「パクッ!!!」
と若利くんの一口で
ソフトクリームが
目の前から消える。
『えっ!?//』
余りの早業にビックリしていると
「こっちも…」
レロォ…
と、アイスの着いた手まで
舐められる
『へっ!?//』
私は放心状態…
「はぁ…間に合った…」
と、まるで反射的に
動いてしまったと言わんばかりの
若利くん。
そして、自分のした事に
焦り始める。
「あ、すいません…//
全部食べてしまって…//
それに、俺…凄いこと…//」
『あぁ、いいのいいの!
私が悪いんだし…汗//』
放心状態から帰ってきて
もう、お互い焦るしかない…
(恥ずかしくて、
今日はもう目を合わせられない…//)
その後は、
イルカショーや、
ペンギンのおやつタイムなどを見たりして
普通にデートを楽しんだ。
そろそろ帰りましょうか…
と、水族館を出た瞬間
ポツポツ…
と雨が降り出した。
『ヤバい!雨だ…』
夏だから寒くはないけど…
車もないし、タクシーもこの辺いないし、
駅向かってたらびしょ濡れになるし
どうしよう…汗
(あ!でもここからだったら……)
「俺、タクシー探してきますよ!」
走り出そうとする若利くんを呼び止めて
『私が一人暮らし用で
借りてるマンションが
ここの近くにあるからそっち行こう?』
と、提案する。
「…は、はいっ!
それより、〇〇さん、
これ羽織ってください!//」
賛同してくれた若利くんは私の肩に
自分の腰に巻いていたシャツを
掛けてくれる。
『あ、ありがとう…//』