第3章 クラスのあの子 【及川 徹】
晴れて両思いの俺たち
□□は俺が思ってるより
俺のことが好きみたい。
朝一緒に登校する約束をする。
俺は楽しみで30分も前に着いてしまった。
だけど、
「おはよう!早いね!」
俺よりも先に着いている□□。
『……ぉはよ。』
相変わらずそっけないけど、
その理由が分かると
なんだかくすぐったい。
「…今日も綺麗だね…//」
髪を撫でると
『!!!////』
無言で固まる。
『-なんか、慣れてる?』
じっと睨まれて
パッと手を離してお手上げポーズをとる俺。
「ごめん、今のは溢れちゃったの。」
『……何が?』
「好きが。」
『!!!!///』
いちいち固まる□□。
こんな可愛くて
こんな純粋なことあるの!?!?
俺は愛おしさと、困惑と、
叫び出しそうな気持ちを同時に抱えて
情緒不安定になりそうだ。
学校が近づくにつれて
クラスメイトや□□の取り巻きなど
知ってる顔ぶれが増えてくる。
「□□おはよ!
及川と一緒なんて珍しいね?」
『お、おはよう』
□□の隣をちゃっかりキープするそいつ。
「〇〇こっち側においで?」
『っ!!』
俺は彼女と位置を交代して
彼女を壁側に移動させた。
「おい、なんだよ及川!」
「昨日から付き合ってるんですぅ!
お邪魔虫はあっちいってください〜」
「う、嘘だろ…?
俺の告白…5回も断ったのに…」
5回も告白した度胸は賞賛に値するが、
それでも今は俺の彼女。
少しでも牽制しないと!
彼女をチラッと見ると
『…////(名前で呼ばれた。名前で呼ばれた。名前で呼ばれた。名前で呼ばれたぁっ…///)』
赤い顔でブツブツ言っている。
その様子を見て
そいつも諦めて
さっさと校門の方に歩いていった。
それから俺たちのことが
学校中に知れ渡り
彼女に近づく輩も減って行った。