第3章 クラスのあの子 【及川 徹】
『高貴な人じゃないよ…
皆、買い被りすぎ…』
□□はなんだか寂しそうな顔をして
目線を遠くにやった。
既に暗くなっていて
鈴虫の声が妙に近くに感じた。
俺はとてもロマンチックな気持ちになった。
「買い被りすぎじゃない…
俺にとって君は…
すごく、特別なんだ…」
星が綺麗…というのと同じくらい
自然に出た言葉。
嘘偽りのない真実。
『!!』
□□はすごく驚いて
目を丸くさせて俺の顔を見る。
初めて目が合った気がする。
俺は感動した。
こんなに誰かの瞳が綺麗だと思ったのは初めてで、
ただ目が合っただけなのに
とても愛おしいと感じたのも初めてだった。
さらに感動…というか驚いたのは
『……//』
彼女の顔がみるみる
赤くなっていくこと。
か、可愛すぎる…//
そして、正気に引き戻される。
(俺、今すごいこと言った!?)
それから再び無言の時間…
「……」
5分くらい歩いただろうか、
沈黙を破ったのは
□□だった。
『………………
私にとっても…特別…//』
「!!!!///」
伏目で顔赤らめてんのは反則////
(って、待て待て落ち着け。
彼女には彼氏いるかもだろ!?)
俺は冷静に今までの行動を思い出して
「と、特別…って、
特別嫌いとかじゃないよね??」
と、聞いてみる
『……嫌いじゃ…ないけど…』
「けど?」
そしてどんどん赤くなる□□の顔。
『恥ずかしいから…
教室では…うまく話せない…//』
下を向いて顔を隠しているつもりの彼女は
耳まで真っ赤で、
本当に俺と話すのが恥ずかしそうに見える。
プツッ
(あ、もう遊びでもなんでもいい。)
俺の理性が弾きとんだ音がした。
こんな顔されて
気づいてないふりするほど
俺はお人好しじゃない。
ハイスペ男でもモデルでも芸能人でも
かかってきやがれ!
及川様がけちょんけちょんにしてくれるわ!
心の中で叫びまくって
余裕が無い俺。
「□□ってさ、俺の事…好き?」
『…………………
…………
すき…//』
(ありがとうございますっ!!!!)
俺は小さくガッツポーズをして
心の中で神様に土下座でお礼した。
「俺も!
俺も……ずっと前から好き…//」