第3章 クラスのあの子 【及川 徹】
なのに-
放課後の部活終了直後
体育館の入口あたりで
主に矢巾が騒いでいた。
「ど、どうしたんですか!?
□□先輩!!」
学校のマドンナにオス共が群がる。
『あ、えっと…
及川いるかな…』
大きな瞳に
白い肌…小さい口が
目の前に…//
矢巾以下その場の全員が思った。
(う、うづぐしぃ〜…涙)
「みんな、何騒いでんの〜?」
及川は出遅れて登場。
「及川ゴラァ!!
□□に何かしたんじゃねぇだろーな!?」
「ええっ、まっつん!
キャラ変わってる!
怖い!いつもの3倍怖い!
…って、□□?」
『…ごめん、なんか…汗』
「…!?!?//」
□□が俺を呼んでる!?
帰り道-
とりあえず学校だと
うるさい奴らに絡まれそうだから
□□には少し待ってもらって
一緒に下校する。
「……」
『……』
(あれ?もしかして、
□□と一緒に下校する奴なんて
俺が初めてなんじゃない!?!?)
そういうのいつも断ってるもんな…
「……」
というか、いつまでこの沈黙?
「あ、あのぅ…」
俺が話しかけたのと同時くらいに
『ご、ごめん、…休み時間のとき
何か言おうとしてたよね…』
と□□。
「あ、いや…
断られると思ってたから
大丈夫〜…」
(って、言ってて悲しくなってきた。)
『その……何て言おうとしてたの?』
□□は気まずそうに
俺とは目を合わさないように歩く。
少し緊張しているように見えるのは
多分俺が都合のいいように解釈してるだけだ。
「え、えと…
今週末バレーの試合あるから
見に来て欲しいな…とか。」
俺は言ってみて後悔した。
(パーティとかディナーの誘い断ってんのに
体育館とか来るわけないじゃん!)
『試合……』
「ごめん、言ってみただけだから!」
『多分、いける…』
「!!!!」
(マジですか!?)
「え、でもシートとかめっちゃ硬いよ?
体育館暑苦しいし…」
『ふふっ…来ない方がいい?』
俺も言ってて矛盾してるって分かってる。
彼女は"多分"って言ったのに、
嬉しくて、夢のようだと走り出しそうな気分。
「あ、いやそういう事じゃ…
でも□□みたいな高貴な人が
耐えられる場所かどうか……」