第11章 カミュ×妻子
『私の夫の夢は、
歌で世界を変えること…
そして、それを語った
数ヶ月後、その夢に一歩近づいたんです。』
そーだったの!?!?
寿が隣でニヤニヤするなか、
俺はその場で一人、
赤面していた。
恥ずかしすぎる。//
『1ヶ月に一度会えるか会えないか
だったけれど、
私と息子が寂しい思いをしないよう
いつも気遣ってくれました。
本当に本当に、
彼は優しい人です。
ですから、
皆様……
どうか、未熟な夫を、
責めないであげてください。
こういった形で
裏切ったことは
本人が充分に反省しています。
なにぶん、自分のことを話さない人ですから
伝わらないかもしれませんが、
今でも彼は
この仕事が大好きで
皆様のことが
大好きです。
ですから、どうか
許してやってください。』
深々と頭を下げる○○。
会場に拍手が起こる。
モニターに愛島が映り、
俺に向かってこう言う。
「カミュ…
辞めないでくだサイ。
ワタシ、カミュの歌が大好きデス。
奥さんが居てもいいじゃないデスカ。」
真っ直ぐな目でこちらを見る。
俺はマイクを使って
愛島にこう言う。
「……しかし。…
もう、決めたことだ……」
こんなことを言いながら
迷っている自分がいることに気づく。
いや、ダメだ。
○○やシヲンに迷惑をかけては。
しかし、会場では
やめないでーっ!!!!
奥さんキレイ…っ//
結婚してても
大好きだよーーっ!!!!
などと、歓声が聞こえる。
すると寿が
俺の肩をトントンと叩いて
マイクを使って会場に聞こえるように
「皆こういってるけどぉ?」
と言う。
まるで、シナリオ通りとでも言うようなそのそぶりに
ため息が出る。