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落ちた一雫

第19章  マリア






マリアを王宮から出さなくなって5年が経った。
その間にも俺達はマリアを疑い、マリアからアル・サーメンの事を聞き出そうとした。しかし、マリアが話す事は一切なかった。


侍女や武官も俺達の態度を見てか、いつしかマリアに冷たく当たるようになった。





そんな時だった。





再び、アル・サーメン達がシンドリアに来たんだ。












「マリア様は何処だ。」
シン「教えるわけないだろう。」
「マリア様を邪険に扱っているお前たちには、マリア様の気持ちなど分かるまい。あぁ!おいたわしやマリア様!!!今すぐにでもこの監獄から出して差し上げます!!」
ジャ「監獄だと?」
「マリア様のお力を発揮するためには、こんなところにいてはなりません!!」
ヤム「何を言ってるの?マリアさんは普通の女性よ!!」


「マリア様、さぁ、我らの前に姿を現して下さい!!!」





マリア「しつこいわ。」




マリアは、見ない間に痩せていた。




「あぁマリア様・・・!!そのようなお姿になられて・・・!!」
マリア「行かない。私は、ずっと昔からそう言ってるはずよ。」




「・・・あぁ、憎い。マリア様を引き留めて離さない、あの男と・・・第一級特異点が・・憎い!!!」




俺達は、ヤムライハ以外すでに魔力が底をつきようとしていたんだ。だから、急な攻撃に、身体が追い付かなかった。




ジャ「!シン!!!」
ヤム「王!!!」



気付いた時には、目の前まで攻撃魔法が来ていた。
咄嗟に俺は、目を閉じてしまったんだ。






しかし、いくら待てど攻撃が当たる事はなかった。恐る恐る目を開けてみれば、そこにはマリアがいたんだ。




シン「・・・マリ・・ア・・・?」
マリア「・・・ごめんなさい。貴方には、たくさん迷惑をかけてしまったね。」


マリアは一切こちらを向く事なく話す。


マリア「ごめんなさい。余計な不安を増やして。ごめんなさい、余計な怒りを覚えさせて。」


ヤム「マリアさん・・・!!!」

マリア「ごめんなさい、余計な仕事を増やして。ごめんなさい、貴方の側に私がいて。」




そこで、ようやく俺は気付いた。


マリアが、攻撃を受けて傷だらけになっている事に。





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