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落ちた一雫

第19章  マリア







モル「・・・マリアさんは、目覚めてからこの世界に来て、レイさんを産んだ、という事ですか?」
アラ「・・・それだけじゃない、よね。シンドバッドおじさん。」

紅炎「・・・ちょっと待て。レイの父親は、シンドバッドなのか?」
アラ「うん、そうだよ。」
紅明「・・兄王様、ご存じなかったので?」
紅炎「聞かなかったからな。」
紅明「あぁ・・・まぁ、あの子は機密をそう簡単にバラしたりするような子ではないと分かっていましたし・・・。」



アラ「シンドバッドおじさん、マリアさんはどうして死んでしまったんだぃ?」



シン「・・・事の始めは、シンドリアが出来てしばらくした頃だ。アル・サーメンがシンドリアに突如攻撃をしかけてきたんだ。」













「“全知の巫女”・・・いや、“永遠の女王”を我らに差し出せ!!!第一級特異点、シンドバッド!!」
シン「・・・?何の事だ!!」
「・・・おや、あのお方から何も聞いていない、と。(ニヤリ」
シン「・・・あのお方・・?」



突然、俺の目の前にいたアル・サーメンの魔導士に攻撃が加わり、魔導士は人形へと成り果てた。
攻撃の飛んできた方を見れば、そこにいたのはマリアだったんだ。



シン「マリア・・・!?」
マリア「・・・。」



そこにいたマリアは、俺の知ってるマリアではなかった。
悲しそうな顔で今までに見たこともない杖を握りしめ、立っていた。




「やはりいらっしゃいましたか、“永遠の女王”。」
マリア「私はマリアよ。」
「マリア様・・・あぁ、随分と変わられてしまったようですね・・・。その男のせいですか。」
マリア「私は変わらない。ずっと、私は私よ。」
「おいたわしやマリア様・・・すぐにこちらへおいでなさい。」
マリア「私は行かない。」
「マリア様、“永遠”など貴女様にしか与えられておらぬのですよ。」






その会話を聞いていた俺たち全員は、マリアがアル・サーメンと関わりがあることを初めて知り、そして・・・




シン「・・・マリアを、疑ったんだ。まだ、アル・サーメンと繋がっているんじゃないか、とね。」



そうして俺たちは、マリアを王宮から出す事を禁じたんだ。




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