第17章 バルバッド
「いえいえ。額ずく必要などございませぬ。なぜならサルージャ王家はもはやこの世に存在せぬのですぞ!アリババ殿はもはや、シンドリアのいち大使に過ぎませぬ。バルバッドとは無関係、故に額ずく必要はございませぬ。(ニヤッ」
トト「(こいつら・・・!!王子のアリババによりによってこんな場で土下座しろと?そんな屈辱耐えられるか!完全に煌帝国に服従すると示すようなものだ・・・!)」
モル「(でも・・・叩頭しなければ、自分はバルバッドとはもう無関係だと自ら宣言するということに・・・!?)」
オルバ「(どうしますか、アリババさん・・・!!)」
「(さあ、這いつくばるのか這いつくばらないのか。突っ立ったままならおまえは、今日からバルバッドとは赤の他人だ!!)」
「(王子・・・!!)」
「あぁ、老人の戯言は気にせず頭上げたままでいいよ、アリババさん。」
そんなドロドロした空気を一気にそぐような一言。
アリババが声のした方を見れば・・
アリ「・・レイ、さん!?」
レイ「ねぇ紅炎。煌帝国の部下はバカなんだね!」
「なっ・・・!!」
先ほどまでアリババに土下座を強要していた男が動揺した。
レイ「だってそうでしょう?そうやって人を蔑む事しか考えていないのなら・・・。」
レイはふわりとその人の前に立ち・・・
レイ「いつか首もぎ取られるよ。」
冷めた目でその男を見下した。
レイ「・・・ほら、バルバッドの人たちも立ちなよ。正座は足痺れちゃうからね。」
紅炎「・・やめだ。皆の者もう下がれ。」
「閣下!!?!?」
そういいながら上着を脱ぎ捨てる紅炎。
紅炎「おい小僧、お前のマギは連れて来なかったのか?シンドバッドの奴め・・知識の粋を独り占めしやがって・・。」
レイ「紅炎、どうせ会談で会うでしょ。」
紅炎「お前はどうするんだ?しばらく滞在するつもりか?」
レイ「考え中。久々にバルバッドに来たいとしか思ってなかった。」
レイの後ろには二人の男がレイを護るように立っていた。