第7章 白い闇
翌日、レイが目を覚ますと、目の前には白い何かしか見えなかった。抱きしめられている感覚があるのに気付いたレイはその白いものが何か理解した。
レイ「・・・ママ・・。」
そう、ジャーファルである。昨日、部屋にレイを戻したジャーファルはそのまま一緒に寝てしまったらしい。しかし、そんな事を知らないレイ。
レイ「・・・ママ、だぁ・・。」
と捻り出すように声を出した後、ジャーファルに抱き付いてそのまま再び夢の中へと落ちて行った。
次に目を覚ましたのはジャーファル。
窓の外を見てみると、日はすでに昇っていた。おそらくお昼少し前だろう。
それに気付いたジャーファルは意識もはっきりした。
ジャ「しまった、仕事が・・・!!」
頭に被っていたはずのクーフィーヤはいつの間にか机の上に畳まれて置いてあり、視線を自分のお腹の方に向けると、官服を握りしめながら寝ているレイ。これでは動くに動けない。
ふ、と視線を感じて、そちらの方を向いたジャーファル。
そこにいたのは、シンドバッドだった。
シン「やぁ、よく眠れたみたいだな、ジャーファル。」
ジャ「シン・・・!貴方、いつからそこに?」
シン「結構前だな。部屋に入ってもお前が目覚めないなんて珍しい。」
ジャ「そうですね・・・もしシンが暗殺者だったら、と考えるとゾッとしますね。」
シン「はっはっは!大丈夫だぞジャーファル。侵入者が夜中に入ってきても俺が退治してやる!」
ジャ「真っ先に寝るアンタが何言ってんですか。」
シン「あ、そうだ。ジャーファル、お前今日仕事休みだからな。」
ジャ「・・・は?」
シン「いや、だから仕事休み。」
ジャ「何言ってんですかシン。まだ書類がたくさん残っているのに。」
シン「それでもだ!お前は今日休みだ!政務室に行っても追い返すように言ってあるからな。」
ジャ「・・・何ですかそれ。」
シン「ジャーファル、レイと一緒にいてやってくれ。」
そう頼むシンドバッドは、父親の顔をしていた。