第3章 宴会後
文官達は今現在、驚きの光景を見ている。
ジャ「レイ、この書類の確認お願いしてもいいですか?」
レイ「うん。ママ、これ明日のヤツだから先にやっちゃった。」
ジャ「ありがとうございます。」
ジャ「レイ。」
レイ「それもう見た。大丈夫。・・・お茶淹れる。」
ジャーファルの机とレイの前の席に積まれた書類がみるみる減っていく。
本職であるジャーファルよりは減りが良くないものの、レイの仕事ぶりに文官達は目を見張った。
ミスを確認し、書類を選別し、時には自分たちにお茶と食べ物を届けてくれる少女。
彼らはただただ有能な少女に感謝するしかなかった。
夕刻になり、終業を告げる鐘が鳴った。
そこでジャーファルはようやく手を止めた。
レイ「・・・お疲れ様。」
と言ってジャーファルにお茶を差し出すレイ。
ジャ「ありがとうございましたレイ。本当に助かりました・・・!!」
レイ「・・・ママ、寝れる?」
ジャ「はい。一緒に寝ましょうね。(微笑」
レイ「・・・うん・・。(微笑」
なんと、今日と明日締切の書類は全て終わったのである。これには終わってからジャーファルも驚いた。
ジャ「・・・でも、寝る前に湯浴みをしないといけませんね。(クスッ」
そう、レイもジャーファルも墨だらけになっていて、レイに至っては顔にも墨がついていた。
レイが眠った事を見届けたジャーファルは、王の私室にやって来た。
シン「ジャーファル、お前随分とレイの事を世話しているようだな。妬けるぞ?」
ジャ「シンがきちんと執務を毎日こなしていれば午後からはレイと遊べるはずでしょう?」
シン「それは・・・そうだが・・。」
ジャ「・・・私はレイを警戒しなければならない筈なのに、むしろ私が気遣われています。昨日も今日も、仕事を手伝ってくれたんです。」
シン「・・・マリアの子もまた、同じというわけだな・・。」
ジャ「シン・・・。」
シンドバッドがどこか遠いところを見ながら答えた事に、ジャーファルが気付かないわけもなかった。